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その名も「クアトロン」──シャープ、“4原色”テレビを世界展開

» 2010年05月18日 10時05分 公開
[ITmedia]
photo 片山社長

 シャープの片山幹雄社長は5月17日開いた経営方針説明会で、同社が開発した液晶ディスプレイの“4原色”表示方式を「クアトロン」と名付け、対応パネルを搭載した「AQUOS」を2010年中に世界展開する計画を明らかにした。

 クアトロン(Quattoron)は、イタリア語で「4」を表すクアトロ(quattro)と電子(electron)を組み合わせた造語で、国内では昨年12月に商標を出願済み。かつてソニーが世界を制覇したブラウン管「トリニトロン」(1ガン3ビーム方式)を数字で上回る「クアトロン」を、家庭用テレビや医療、美術館など幅広い用途に展開していく考えだ。

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 4原色表示方式は、光の3原色であるR(赤)、G(緑)、B(青)に、新たにY(黄、Bの補色)を加えたフィルターを使う多原色技術。透過率の向上と色域の拡大というメリットがあり、3原色では実現できなかった明るく色鮮やかな表示が可能という。

 これに世界初の光配向技術「UV2A」、LEDバックライトを組み合わせ、高画質と低消費電力を両立させるのがクアトロン搭載AQUOSだ。

 まず欧米で4月に発売。片山社長は「店頭で見れば一瞬で違いが分かる」と胸を張る。日本国内でも夏ごろに投入を計画し、新興国でも順次拡大。年内に全世界で展開していく。

 シャープの2010年度テレビ販売計画は、前年度比1.5倍の1500万台。うち国内で同1.4倍の780万台を見込み、中国市場でも、販売店網をてこ入れするなどして2倍以上の拡大を目指している。

 テレビ用液晶パネルは、需要に対して供給が下回るひっ迫状態が来年まで続く見通し。新興国市場の需要が想定以上に拡大している上、PC需要の拡大に対応して第6世代・第7世代ラインをPC用に転換する動きが相次いでいるため。「LEDや3Dに対応できる高性能パネルを供給可能なメーカーは限定されている」(片山社長)としてパネル不足を見込み、堺工場(第10世代)の生産能力を引き上げて対応していく。

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