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» 2011年02月08日 11時00分 UPDATE

中小企業のカリスマ経営者が語る:だからいつまで経ってもダメ社長なのだ! (1/2)

厳しいビジネス環境の下、中小企業が生き残るためには、社長自らが変わらなければならない。さもなければ、会社はつぶれるだけだという。

[伏見学,ITmedia]

 東京の西郊に広がる武蔵野台地。その南西部に位置する小金井市に、全国各地から中小企業の経営者たちが足繁く通う企業がある。オフィスや家庭の清掃用品「ダスキン」の代理店業務を中心に、地域に根ざしたビジネスを展開する株式会社武蔵野だ。同社はこのクリーンサービス事業に加えて、中小企業を対象にした経営サポート事業を手掛けている。経営者や幹部の意識改革を行う実践セミナーや、武蔵野自身の取り組みを紹介する見学会など、その内容は多岐に渡る。

 経営サポート事業に参加する経営者たちを前に、自らが壇上に立って彼らを熱血指導するのが、武蔵野の小山昇社長である。「強い会社をつくりなさい!」(阪急コミュニケーションズ)や「本当に儲ける社長のお金の見方」(中経出版)など20冊以上の著書を世に送り出しているほか、これまでに300社を超える中小企業を指導してきたことから、“中小企業のカリスマ経営者”として高い支持を集めている。

 なぜ、小山氏および武蔵野がこれほどまでに注目を集めるのか。武蔵野は、今でこそ「日本経営品質賞」(経営品質協議会)を受賞するなど、中小企業の模範とされる存在であるが、実は20年ほど前までは、落ちこぼれの集まりで、地域住民からはつまはじきにされていた。当時、幹部社員の3分の1が元暴走族。不正は横行し、仕事に対するプライドなどまるでなかった。

 「武蔵野は1年も持たずにつぶれるだろう」――。周囲からそのように揶揄される中、社長に就任した小山氏は、確固たる決意を胸に次々と経営改革を推し進めていった。その代表例が朝掃除などの徹底した「環境整備」である。デスク周りからトイレ、階段、倉庫など社内は隅々まで清掃が行き届いており、初めて同社を訪れた来客は皆絶賛するほか、武蔵野を見習って社内の環境整備に取り組む企業は後を絶たない。

社員は投資すれば裏切らない

武蔵野の小山昇社長。元気の秘けつを伺うと「夏は厚着、冬は薄着で過ごすことだ」という。この日もYシャツの下に何も着ていないことを示してくれた 武蔵野の小山昇社長。元気の秘けつを伺うと「夏は厚着、冬は薄着で過ごすことだ」という。この日もYシャツの下に何も着ていないことを示してくれた

 さて、中小企業を取り巻く市況に目を向けてみよう。リーマン・ショック以来、依然として厳しい経済情勢が続く中、業績低迷に苦しむ中小企業は少なくない。そうした現状に対して、小山氏は「多くの中小企業の経営者は本当に大変な状況だと思っていないから、なぜ自社の業績が悪いのか理解できていない。結局、いつまで経っても状況は変わらない」と一刀両断する。今までと同じ人間が、同じ考え方で、同じように仕事をしていても現状から抜け出せない。ところが、これを行動に移せない経営者が実に多いのだという。

 例えば、人についていえば、社員を入れ替えるか、今いる社員を教育してレベルアップさせるしか現状を変える方法はない。しかし、多くの社長は教育すらしない。なぜなら、教育して社員が辞めたら損だと思っているからだ。「たった数十万円でも社員に投資するのは損だと言う社長がいる。社員はお金をかけたら裏切らない。それを分かっていない社長が何と多いことか」と小山氏は語気を強める。

 問題は社員の教育方法にある。多くの企業では、営業教育や技術教育など小手先のスキル教育にとどまっており、企業としての理念や価値観を教え込んでいないため、「技術が流出した」などと大騒ぎするのだという。武蔵野では、年間15億円の人件費のうち、約1億円を社員の教育・研修費に当てている。これは正社員に限らず、パート社員やアルバイトに対しても積極的に投資している。「商品やサービスはどの会社もすぐに真似できるが、人そのものは決して真似できない」と小山氏は人材教育の重要性を説明する。

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