ITmedia NEWS > 製品動向 >

「ゲーム専用機限界論を払拭したい」──3DS年末商戦にかける任天堂

» 2011年10月28日 20時14分 公開
[ITmedia]
photo ニンテンドー3DS

 「ゲーム専用機限界論を払拭していきたい」──任天堂の岩田聡社長は、10月28日開いたアナリスト向け説明会で「ニンテンドー3DS」の年末商戦にかける意気込みを語った。3DSのスタートダッシュ失敗が響き最終赤字に転落する見通しになったが、有力ソフトの継続的な投入などで「来期には任天堂らしい利益水準を取り戻す」としている。

 今期の3DS販売目標が世界で1600万台なのに対し、上半期の販売実績は307万台。そのうち107万台が日本国内で、最大の市場である米国市場は81万台にとどまっているのが現状だ。

 岩田社長は年末商戦での3DS販売への懸念について、3DSの販売ペースが米欧とも「ニンテンドーDS」の販売ペースと同じか上回っていることを挙げ、有力ソフトの投入効果もあり、米国では「年末の盛り上がりは、ニンテンドーDSの2回目のクリスマスを大きく超えるものになることが期待できる」とした。

photo 説明会資料より

 日本市場でも、値下げ以降はDSの同時期の販売ペースを上回っているとし、「年末の大きな伸び」を期待。11月3日に発売する「スーパーマリオ3Dランド」の発売を皮切りに有力ソフトの大量投入で「3DSの普及を爆発的に進め、一部で報じられている、ゲーム専用機限界論を払拭していきたい」と意気込んだ。

3DS収益は来期以降に改善

 発売から半年で大幅な値下げに踏み切った結果、3DSは販売価格がコストを売れるたびに赤字になる「逆ざや」になっているとされる。当初の販売低迷もあり、同社は今期、連結決算の公表を始めた1981年以来初の最終赤字に転落する見通しになった。

 来期以降、3DSはコストダウンを段階的に進め、収益が改善する見通しという。また今期のように有力タイトルを投入する間隔が極端にあかないよう、継続的に発売していく考え。「来期も有力タイトルを切れ目なく発売できるよう、ソフトメーカーとも準備を進めている」という。

 ニンテンドーDSが爆発的に普及するきっかけになった「脳トレ」のような、ゲームになじみがない層にも関心を持ってもらえる新しいジャンルのソフトも来期に向けて開発中。スマートフォンの普及で「脳トレ」や「Wii Fit」のような新ジャンルの提案は難しいのではないかという見方に対し、「任天堂のハード・ソフトを一体に提案できる強みと、年齢・性別・ゲーム経験の有無を問わず、幅広いお客様に受け入れていただける製品を仕上げる強みを活かして、良い意味で驚いていただけるような製品の展開を目指していく」とした。

ニンテンドーeショップはDLC対応、Web化でPCやスマホに対応へ

photo

 3DS本体ソフトの更新で、ニンテンドーeショップではゲーム会社から要望が多かった追加ダウンロードコンテンツ(DLC)に対応。また起動回数を制限する試遊版の提供も可能になる。ソフトのダウンロードはスリープ中に行うようにするなど、改善も加える。

 今後、同ショップをWeb化し、PCやスマートフォンからアクセスできるようにする計画という。実際に1時間以上ゲームを遊んだ人だけが投稿できる「おすすめ投稿」は既に100万件超の投稿があるというが、「ニンテンドーeショップの情報は、『おすすめ投稿』も含めて3DSの中に閉じていて、今の時代の情報を広げる手段になっているソーシャルメディアとの相性が良くない」と認める。Web化でPC/スマホからもアクセスできるようにすることで、評価の高いソフトを3DS以外でも知ってもらえるようにしたい考えだ。

 まずはPC/スマホ画面に表示したQRコードを3DSカメラで撮影するとeショップにジャンプするようにする。将来はPC/スマホからソフトを購入できるようにしたい考えだ。

 アメリカとカナダではWiiと3DS向けにNetflixの動画配信を展開。またHuluのビデオオンデマンドサービスも米国でWii・3DS向けに近く開始する計画だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.