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» 2012年01月12日 11時30分 UPDATE

コミュニティー運営の要諦:リーダーは進んで自分を差し出せ (1/2)

リーダーの役割は複数のステークホルダーを調整し、プロジェクトをプロデュースすること――学生支援団体「SCU」の若きリーダー渡辺友太さんに、企業学生合同コミュニティー運営のポイントを聞いた。

[鈴木麻紀,ITmedia]

 「学生支援企業組合(Student Capital Union:以降SCU)」は、大学生のレベルアップと活動の活性化を目的とした企業と学生合同の学生支援団体だ。2011年夏より各種人材育成講座を開催しており、その参加者は全国で200人を超える。リーダーを務めるのは、自身も学生である早稲田大学大学院修士2年の渡辺友太さんだ。

目標は3年後の100人

watanabeyuuta01.jpg SCUリーダー 渡辺友太さん。積極的なイメージがあるが、かつては人見知りだったそうだ。

 「後輩に何か残してあげたいと思った」。SCUを設立した理由を渡辺さんは振り返る。大学生活を通じて自分は先輩たちにちょくちょく育ててもらった。良い人に巡り合えたのも先輩たちのおかげだったからと。そして、自分は運が良い方だとも彼は言う。しかしすべての人に運の良さがあるとは限らない。だったら自分が学生分野に何かを残そう、学生たちにお金ではないインセンティブを見せたいと思った。それは彼にとってチャレンジだった。

 渡辺さんの考える「お金ではないインセンティブ」のひとつが、トレーニングだ。学生にはそもそもトレーニングが必要だ、学校で学ぶことがすべてではないと思うからだ。しかしいざトレーニングを受けようと思っても、何をどうしたらよいのか学生には分からない。そうやって手探りしているうちに大学の4年間はあっという間に終わってしまう。卒業するころになってやっと分かっても、次の1年生はまたイチから模索しなければならない。学生は4年で卒業してしまうので、企業のようにナレッジの継承やストックができないのだ。

 そこで渡辺さんは、ファンドを作ろうと決めた。物理的な場所や物品はもちろんのこと、先輩たちが得た経験や知識、人脈を受け継ぎ、学生が何かをしたいと思ったときにリソースを提供できる全学生共通のプラットフォームを作ろうと。そうすることで、「全体のスタートラインを前倒しし、その中のトップランナーを前に押し出すことができるようになる」と考えた。

 SCUの3年後の目標は、「アジア地域のプロジェクトでリーダーシップをとれる日本の学生を『100人』輩出する」ことだ。学生全員がトップランナーになれるわけではない。しかし必要な場とトレーニングを提供していけば、その中から頭角を現す学生が現れるだろう。それはボランティアかもしれない、国際貢献イベントやインターナショナルな起業かもしれない。その形は今は分からないが、世界で日本人が活躍するようになってもらいたいと、渡辺さんは話す。

 この目標は、企業とも利害が一致した。企業にとっても、グローバル人材の育成は早急に対応しなければならない課題だったからだ。

 実は渡辺さんは、SCU以前にも企業と学生とのコラボレーションプロジェクトを2度経験している。そのとき痛感したのは、企業と学生の間には距離があるということだ。お互いのゴールや前提条件、意識が異なるため、うまくいかないこともあったという。その経験から彼は「企業と学生が、本当の意味でコラボレーションできないのだろうか。お互いが歩み寄って、共通の課題を解決できないものか」と考え続けていた。

 人材の育成という共通の課題のために、企業と学生は一緒にチャレンジすることになった。SCUの活動に賛同する企業は現在20社。トレーニングの講師や場所の提供、共同プロジェクトのサポートなどで団体を支援している。対する学生も北は北海道から南は九州まで、全国各地から参加している。

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