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孫社長「モバイル事業開始以来の山場だった」──KDDIとのiPhone攻防戦は「最高にいい結果」

» 2012年04月26日 19時29分 公開
[ITmedia]
photo 孫社長

 「iPhoneがKDDIから販売され、われわれにとってはモバイル事業開始以来の山場だった」──ソフトバンクの孫正義社長は4月26日開いた決算説明会で、KDDIがiPhoneに参入したインパクトに触れ、「99%の顧客は死守できた」と影響を最小限に抑えたと説明した。

 KDDIによるiPhone参入は「どう転ぶかでわれわれの経営に大きなインパクトを与える」という“事件”だった。ソフトバンクモバイルの加入者約2880万人(3月末)のうち、iPhoneユーザーは「数十パーセント」を占める。「その中から解約者が100万人出るのか、200万人出るのか、最悪のシナリオを想定した。特に電波がつながらないというおしかりを受けていたので本当に心配した。経営陣は夜も昼もなく集中的に議論した」という。

 対策は「本質的には電波の改善」だが、「iPhoneユーザーをプロテクトするのは最優先課題」として販売面でもキャンペーンを展開。このために10〜12月に300億円、1〜3月に100億円を投じて顧客死守を図った。その結果、「ふたを開けてみると、ソフトバンクを解約してKDDIに乗り換えたiPhoneユーザーは多い月で数万人レベルで済んだ。われわれが想定した中でも最高にいい結果に終わった」。3月までに合計400億円を費やした販売促進費も「ほとんどかからないところまで収まってきた」という。

photo 決算説明会資料より

 「99%の顧客は死守できた。新規もソフトバンクに加入する客が圧倒的だった」。ソフトバンクの2011年度純増数は354万となり、NTTドコモの212万、KDDIの211万を突き放して純増数1位を継続。ドコモユーザーに対しiPhone 4Sを購入する場合のキャリア選択について外部調査会社に依頼してアンケート調査したところ、ソフトバンクを選んだユーザーが過半数だったという。

 同社の11年度(2012年3月期)の連結業績は、売上高が前期比6.6%増の3兆2024億円、営業利益が7.3%増の6752億円となり、それぞれ過去最高を更新した。販売促進でかさんだ予想外のコストをこなした上での結果に、孫社長は「いろいろと問題はあったがなんとか乗り越えた。言い訳抜きで増収増益できた」と自信を見せていた。

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