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政治的思惑か、単なるミスか──中国から「.co.jp」サイトに一斉アクセス禁止の“なぜ?”(2/2 ページ)

» 2012年06月18日 18時57分 公開
[山谷剛史,ITmedia]
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単なるミスの可能性も

 一方で「微博(Weibo)」ことミニブログでよく見た意見としては、「ゲームメーカーのサイトが見られなくなった」「楽天やAmazonにアクセスできなくなった。値段が分からない!」など、投稿者が普段見ているサイトが見られなくて困っているという声だ。

 中国最大のオンラインショッピングサイト「淘宝網(TAOBAO)」では日本で売られる商品を扱うショップもあり、相場のチェックか仕入れのためか、日本のECサイトなどにアクセスすることがあり、日常の作業に影響が出たわけだ。また特に日本の個人や中小企業と取り引きのある中国の会社ではYahoo!メールがよく使われているため、メールが利用できない事態となった。日系企業や日本絡みの企業は日本のサイトを見なければ仕事にならないこともあるわけで、平日までこの異常事態が続けば日中間の経済活動に大きな支障が出るところだった。

 筆者自身、中国にいる時には、「.co.jp」ドメインのサイトが繋がらなくなるというのは例外としても、どこかのサイトに突然つながらなくなり、しばらくするとアクセスできるようになることはよくある。例えば中国の政治とは全く無縁のポイントサイトやアンケートサイトすら、なぜか突然中国から数日間アクセスできなくなることがある。突然つながらなくなり突然つながるという挙動は、まるでテスト環境が稼働しておらず、ぶっつけ本番の動作環境であれこれいじっているようにも感じる。

 ひょっとしたら、今回の一大事は政治的思惑ではなく、単なる運用ミスの可能性がある。中国国外の中文メディアも政治的背景を可能性としてあげつつも「誤操作の可能性あり」とも書いている。

 意図するものがあったのか、単なる運用ミスなのかは現場のみぞ知るところだが、初の国単位のアクセス禁止処置ということで、グレート・ファイアウォールをよく思っていないメディアやインターネットユーザーは驚いたようだ。中文版WikipediaではTwitterやFacebookを押しのけ、「多くの.co.jpサイト」がアクセスできないサイトリストのトップに挙がった。また今回の事件は、中国のネット検閲がドメインを丸ごとシャットアウトする能力があることを内外に示したとも言えるだろう。

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