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» 2012年09月03日 15時44分 UPDATE

「愛国ではない、害国だ」 尖閣デモと公用車襲撃を否定され困惑する中国ネットユーザー (1/2)

尖閣諸島をめぐって中国内では反日世論が高まった。一方で、反日デモや公用車襲撃事件について「愛国ではなく『害国』だ」という論評も現れており、中国ネット世論はそう単純ではない。現地からのリポート。

[山谷剛史,ITmedia]
photo 一部の新聞ではデモ自体も報じた(報じない新聞のほうが多かった)

 8月、再び尖閣諸島問題や日本大使公用車襲撃事件で、中国の反日世論が高まった。19日には中国全土で比較的規模の大きな反日デモが起き、翌週26日にも小規模な反日デモが発生。27日には丹羽駐中国大使が乗った車が襲われ、日の丸が盗まれるという事件が起きた。

 反日デモの参加者による現地写真を見る限り、今回の参加者はネット世代である若者が多いようだ。「微博」(weibo)と呼ばれるマイクロブログがデモ開催情報の主な拡散手段となったのだろう。ただ、「尖閣は中国のもの、蒼井そらは世界のもの」なる横断幕が各地で掲げられていたというから、反日に憤り立ち上がってはいるが、ややお祭り感覚も混じるデモではないかとも解釈できる。微博上でのデモ開催の情報は書き込まれては消されている形跡が確認できるが、消すスピード以上で拡散していったのだろう、結果としては現地発の写真の通り、多くの人が参加した。

 参加者の一部は暴徒と化し、同胞である中国人が所有する中国企業との合弁の日本車を破壊し、中国(香港)資本の日本と関係がありそうな店を破壊していった。日本の「2ちゃんねる」などの掲示板上では、反日デモを「自国民同士が傷つけ合う行動」して見守る意見が多く見られたが、中国においても、この破壊活動を良くないとする意見がよく見られた。

騰訊(Tencent)が舞台となって渦巻いた尖閣ネット世論

 「(ネット)世論」という意味の「輿情(yuqing)」という言葉がある。近年中国企業によるSNSサイトの利用者増により、ネット世論「輿情」が政府にとってますます無視できなくなり、「人民網輿情観測室」など、ネット世論の専門部署が各所でできている。

 人民網輿情観測室のリポートによれば、13日から月末に至るまで、尖閣諸島の話題が掲示板とニュースで目立って取り扱われるようになり、尖閣諸島に上陸した香港の活動家が逮捕された翌日となる16日が最高潮となった。一方でマイクロブログ「微博」では、反日デモが起きる前日の18日に尖閣諸島の話題がピークとなった。

photo 8月11日以降の「釣魚島(尖閣諸島)」に関する騰訊微博(青)、新浪微博(赤)の情報量

 現在中国では、トップを争う騰訊(Tencent)と新浪(Sina)の2大ポータルサイトが、どちらも4億程度に上る微博アカウントを抱えている。どちらも同じものかといえばそうではなく、今回は尖閣問題関連の投稿は一方的なほど騰訊微博上に集中。逆に新浪微博では、事件の成り行きに応じて突然多くのユーザーが尖閣諸島について語ったりするということはなかった。

 騰訊は10億を超えるアカウントを抱える国民的チャットソフト「QQ」のユーザー拡大につれて成長したネット企業だ。その騰訊が運営する微博では、チャットソフトと共通のアカウントを使うことができ、その延長で友人とのコミュニケーション目的で利用される傾向がある。これに対し、新浪微博のユーザーは比較的、公衆に対して意見をつぶやく傾向がある。


photo 8月11日以降の「釣魚島(尖閣諸島)」に関するニュース(青)、掲示板(赤)、ブログ(緑)、新聞雑誌(黄)の情報量

 またチャットソフト「QQ」が起動すると、新しいウィンドウが立ち上がって同社のポータルサイト「qq.com」上のホットなニュースがまとめて表示されるようになっている。「人民網輿情観測室」の連日のリポートをまとめると、注目が集まった尖閣問題関連ニュースは「qq.com」に偏っていた。関連するつぶやきも騰訊微博に集中する結果となったのは、こうした背景がある。

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