──没になったというAppend的なイメージというのはどいったものだったんですか?
佐々木 結局、声のテイストを変えて、Darkだったり、Strongだったりというのも試しはしたんですが、その中で、風雅なおとさん(KAITOの“中の人”)の発声法が、予想以上に安定している事に気がついたんです。それで音色を変えるようなディレクションは止めて、「声の強弱」、「息の成分」や、「伸びやかさ」といったニュアンスベースに、方向転換するようになりました。最後にV1 KAITOに近いSTRAIGHTという声で、色々と歌わせて、元のKAITOと違和感なく聴こえると分かった上で、イラストの方向性も、V1に寄せていった感じです。
──イラストがオリジナルに近づいたということは、V1の声質に近づけたという自信の現れというわけですか。
佐々木 多分、それが正攻法だったんでしょうね。V3の声が「KAITOじゃないじゃん」と批判されてしまえば、V1派=カトリックと、V3派=プロテスタントみたいに別れていくと思うんですよね。ファン同士が対立していくような状況は誰も望んでいないと思いますから。
──実際にインストールして試して、さらに公式デモ曲を聞きましたが、同一性がきちんと保たれた音源になっていますね。
佐々木 VOCALOID 1の時の素材を構築し直したのとは違います。分析をして似させようという試みはしたものの、1と、2&3はデータベースを作るときのプロセスも違っていたりとか考え方も違っていたりということもあるので。
──オリジナルのデータは使っていないと。
佐々木 オリジナルは検証で使った程度で、使用したのは2011〜2012年に録音したデータですね。
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