サイトの認知が高まり、ユーザーが増えるにつれ運営の負担は増しているが、収入源はサイト内のバナー広告のみで「微々たるもの」。システムも限界に来ており、リニューアルを計画中だが、「完全無料」の看板は下ろさないつもりだ。
「サラリーマン時代の友人に、『どうやってもうけるんだ』とか、『ニーズがあるなら利用者からお金を取るべきでは』などと説教されながら始めたサイト。写真を売れると楽になるかもしれないが、『絶対にお金をもらわない』と意地になっているところもある。バカだなぁとも思うが、そこに熱くなれる方がいいかなと」
サイト構築・運営や、モデル写真撮影のノウハウもたまり、コンスタントに運営を続けるベースはできてきた。「写真を売らなくても、やれることはある」――無料提供を続けながら、運営資金を得られる道を模索していく。
「素材写真だからこそ見てもらえる写真がある」と日野さん。ある程度の質は担保しつつも、さらに多くの人に素材写真を提供してもらい、多様な媒体で使ってもらうことで、撮った写真をたくさんの人に見てもらうための場に成長させていきたいという。
「誰もが気軽に、自分が撮った写真を素材として提供し、写真を見てもらえる可能性を広げられる仕組みを残したい。Webやカメラのことをあまり知らない方が、旅行などで撮った写真を気軽に載せてもらえる場になれば」
左の写真の女の子に見覚えがあるネットユーザーは少なくないだろう。足成の人物写真では、約20人のモデルが活躍しているが、女性モデルのうち最も撮影枚数が多いのがこの写真の笠井枝理依さん(25)だ。大学4年生のころに足成モデルを始め、社会人2年目の今も継続。これまでに撮影・公開された写真は1500枚近くに上り、ニュースやコラム記事によく使われている。
足成モデルになったきっかけや撮影時の苦労、ネットに自分の写真が載る感想などを笠井さんに聞いた。
――足成モデルになったきっかけは。
学生時代にアルバイトしていたネットベンチャー・nanapiで、記事の作成に足成の写真素材を使っていたのがきっかけです。バイト中に足成を見ていたらモデルの募集があって。小さい頃、女優になりたかったこともあり、モデルにも興味があったので、応募してみました。
――撮影はどのように進むのですか? 撮影時の苦労は?
カメラマンさんと一緒に、記事などに使われやすいシチュエーションやポーズを考えて撮影します。撮影は月1回程度。スタジオ撮影は多いですが、ロケに行くこともあります。
撮影時、最初は全然笑えませんでした。笑えるようになっても今度は、怒ったり泣きそうな顔をしたりとかができなくて。鏡の前でかなり、表情の練習をしましたね。
男性モデルと一緒にカップルで撮影した時は、やっぱりちょっと抵抗がありました。ただ「ハグはアウト」とかある程度ラインは引いていて、カメラマンさんも気を遣ってくれます。
――自分の写真が使われた記事はチェックしていますか?
はい。エゴサーチして見つけたり、友達が教えてくれたりします。よく使われるのは、MacBook Airをいじってるものとか、本を読んだりケータイやiPodを使っているものなど。わたしの写真だけを使って楽曲のプロモーションビデオを作ってくれた人もいました。写真がテレビ番組で使われたこともあって、妹が教えてくれました。
――実名を出して顔写真を公表することに抵抗はありませんでしたか?
怖さはありました。学生団体の活動などで名前を出す機会はありましたが、芸能のようなジャンルで名前が出ることは不安でしたね。今でも、素材がどこで使われるか分からない不安はぬぐえませんが、今のところはそんなに変な使われ方をしていません。
ただ、「こういう女の子にはご用心」というテーマの記事で、ぶりっ子している写真が出ていたりすると「あっ」って思いますね。出すときに覚悟はしていましたが……。足成の運営サイドでも、危ない使い方をされないようテーマ的に気を遣ってくれたり、問題がある使い方をされた場合は、削除依頼など対応してくれるので、そこは安心しています。
――モデルの楽しさとは。
カメラマンと一緒に何かを表現できることです。自分の演じ方だけでなく、カメラマンがどう切り取るかによって写真の雰囲気は変わります。基本的にメイクも服装も自分で選ぶので、テーマに合う服装や撮り方も一緒に考えて、課程も楽しんでいます。自分が表現したかったテーマに沿った写真が撮れて、そのテーマに合った記事などに使われているとうれしいですね。足成の撮影は、自分自身の表現欲求を発散できる場です。
足成はすごいと思います。ほかにも素材写真のサイトはいっぱいありますが、ここまで使われているサイトはあまりないので。これからも続けていってほしいと思っています。
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