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VOCALOIDをチップに ヤマハ、“歌える”音源LSI「NSX-1」 制御用ライブラリも公開

» 2013年10月23日 19時04分 公開
[ITmedia]
画像 NSX-1

 ヤマハは10月23日、組み込み用VOCALOID「eVocaloid」に対応した“歌える”音源LSI「NSX-1」(YMW820)のサンプル出荷を始めた。アコースティック楽器音色の発音も可能で、「歌って、奏でる、次世代音源」としている。

 NSX-1をJavaScriptで制御するためのライブラリをオープンソースで公開するなど、応用製品・アプリの普及にも力を入れる。サンプル価格は2000円。

 組み込み向けの「eVocaloid」を搭載する。歌声合成に必要なデータベース容量の削減や、少ない処理量で歌声を合成する方式の採用などで、極めて少ない遅延で歌声を合成するという。音声ライブラリは、「VY1」をもとに開発した専用の「eVY1」。力強く伸びのあるロングトーンの歌声になるとしている。

 General MIDI(GM、128音色+1ドラムキット)のほか、高品質なアコースティック楽器音の再生にも対応。楽器の微妙な変化を再現する同社技術「AEM」(Articulation Element Modeling)をもとに開発した音源「Real Acoustic Sound」により、ピアノなど30種類の音色をリアルなアコースティックサウンドで奏でられるという。

 Real Acoustic SoundとGMを同時に使用することは可能だが、Real Acoustic SoundとeVocaloidの同時使用はできず、事前にどちらの音源をプリインストールするか選ぶ必要がある。

 JavaScriptでNSX-1を制御するためのライブラリを11月上旬、GitHub上の同社ページで公開する予定。WebブラウザからMIDI機器を制御できる「Web MIDI API」規格で動作し、Webアプリから音を鳴らす、音を止める、使用する音色を選択するといった制御が可能だ。

 サンプルアプリとして、(1)Webブラウザから送信した歌詞を、MIDIキーボードの演奏によってリアルタイムにNSX-1に歌わせるアプリ、(2)Webブラウザ上のピアノロールエディタにメロディを入力し、歌詞とあわせて送信してNSX-1に歌わせるアプリ、(3)Webブラウザに接続されたマイクからの発話音声を音声認識にてテキスト化し、そのテキストをNSX-1で発声させるアプリ――を公開予定だ。

 他社ともコラボレーションする。電子工作のモジュールを手がけるスイッチサイエンスは、ディスプレイやスピーカーと接続すれば、NSX-1を音源として使用できるArduino用インタフェース「eVY1 SHIELD」を10月下旬に発売。学研教育出版は「大人の科学」シリーズで、eVocaloidを搭載した製品を来春に発売する。

 また、「Maker Faire Tokyo 2013」(11月3〜4日、日本科学未来館で開催)に出展し、NSX-1とWebアプリケーションのデモや、NSX-1のプレゼンを行う。また、スイッチサイエンスのブースでは「eVY1 SHIELD」を展示。学研「大人の科学」ブースでもNSX-1を搭載したガジェットのプロトタイプのデモを行う。

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