ニュース
» 2014年02月06日 21時49分 UPDATE

「VAIO」売却は「苦渋の決断だった」 ソニー、エレクトロニクス立て直しへ、テレビ分社化など抜本改革

「PC市場に一石を投じてきたブランド」だったが──「VAIO」の売却という「苦渋の決断」に至った背景には、「ジャンク」扱いにまで格下げされた同社がエレクトロニクス事業の立て直しを急いでいることが背景にある。

[ITmedia]
photo PC事業の売却とテレビ事業の分社化を発表する平井社長

 「PC市場に一石を投じてきたブランド。関係者の多大な努力で大きなビジネスになったが、苦渋の決断をした」──「VAIO」ブランドで展開してきたPC事業の売却を発表したソニー。平井一夫社長は2月6日、「エレクトロニクス事業を回復させるため、ソニーとしてはモバイル領域ではスマートフォンとタブレットに集中すると判断した」と理由を説明した。

 同事業を取得する日本産業パートナーズ(JIP)は、1月末にNECからNECビッグローブを買収することを発表した事業再生ファンド。VAIO事業はJIPが出資する新会社に移行し、「VAIO」ブランドを継続しながらPCの企画・開発から製造・販売まで行う。新会社にはソニーが5%を出資する意向だが、「スムーズな移行を支援するため」という立場。詳細は今後詰め、3月末までに正式契約を結び、7月1日付けで譲渡を実行する計画だ。

 新会社は「VAIOの里」とも呼ばれる長野県安曇野市の「長野テクノロジーサイト」を拠点に置く。「海外はJIPの考え次第だが、当初は日本からスタートする」(平井社長)と、実質的に海外から撤退する形になるもようだ。現在約1100人いる同事業に関わる国内人員のうち、250〜300人程度が新会社に移る見通し。それ以外の人員は配置転換や早期退職などで対応するという。

 ソニーとして発売するPCは今年の春モデルが最後。その後も販売済み製品のアフターサービスは継続する。

 7月以降の詳細はまだ詰めている段階だが、「ソニー側がVAIOブランドを一切使わないかどうかはまだ検討事項」(同社)という。

photo ソニーサイトのVAIO製品情報サイト

エレクトロニクス事業の黒字化へ「苦渋の決断」

 都内のソニー本社で開いた会見で、平井社長は「PC市場のさまざまな環境の変化や競争環境、ユーザーの好みが変わってきたなど、さまざまなことがある」と背景を説明する。

photo 1998年発売の「PCG-C1」

 VAIOについては「ソニーらしい、市場にある一般のPCとは違うデザインや機能に加え、フォームファクタやハードウェアのデザインも違うものがあった。PC市場に一石を投じてきたブランドではないか」「サプライチェーンなど、オペレーション面でも大きな貢献があった」とし、「ノウハウや資産は今後のソニーのビジネスでも大いに活用していかなければ」という。

 「ソニーらしさ」を感じさせるPCで市場を席巻したVAIOの売却にまで踏み込んだのは、本業のエレクトロニクス事業の立て直しが待ったなしの課題になっているためだ。14年3月期の連結最終損益は300億円の黒字としていた従来予想が一転、1100億円という巨額の赤字に転落する見通しになった。構造改革費用を新たに積みますこともあるが、エレクトロニクス事業の収益が想定を下回ったことも大きい。

 「プレイステーション 4」などの好調はある一方、スマートフォンの販売台数は前回予想から200万台減の4000万台に下方修正。デジカメなどは市場縮小が続き、必達目標としていたテレビ事業の黒字転換も難しい見通しになっている。エレクトロニクス事業は「(赤字幅は)昨年度から半分以下になる」(加藤優CFO)が、今期の黒字転換は果たせない見込みとなった。最近、格付け機関が同社をジャンク級に格下げしたことが話題になったが、「バランスシートは客観的にみて脆弱とは考えていないが、先行きの収益性が弱いという判断をしたのだろう」(加藤CFO)と認識している。

 厳しい価格競争に加え、タブレットの普及で先行きが厳しいPC市場。VAIO事業は12年度に赤字となり、13年度もVAIOの販売は当初750万台を見込んでいたが、昨年10月には580万台へと大幅に目標を引き下げた。好転が見込めないPC事業の売却を求める株主の声もあった。

 10期連続の赤字見通しになった最大の課題・テレビ事業も、分社化という抜本的な改革を決断した。同事業は11年度に1475億円の赤字を計上したものの、13年度は250億円程度にまで赤字幅を圧縮できる見通し。「4Kテレビ市場は成長が見えており、そこでソニーが圧倒的なシェアをとっている。高付加価値戦略が奏功しており、積極展開して黒字化するのが絶対必要な戦略だ」(平井社長)。ゲーム、モバイルの両事業と同様、別会社とすることで現場での迅速な判断を促し、改革を加速する狙いだ。

 PC事業の売却とテレビ事業の分社化に伴い、販売・製造・本社間接部門の規模の適正化を進めるとともに、14年度末までに約5000人(国内約1500人)の人員減を見込む。平井社長は「この規模の構造改革は一度打ち止めにしたいと思っている」とした上で、「この規模ほどではないが、事業ポートフォリオの見直しなどは進めていきたい」と述べた。

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -