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LEDで照らした“物”にID情報を付与できる新技術、富士通研が開発

» 2014年11月17日 12時07分 公開
[ITmedia]

 富士通研究所は11月17日、物に照射する光にID情報を埋め込み、照らされた物からID情報を復元できる照明技術を開発したと発表した。対象の美観を損ねず情報を埋め込むことができ、美術品にカメラをかざすだけで解説動画を再生したり、舞台上のタレントにカメラをかざして歌っている楽曲をダウンロードする――などの応用が可能としている。

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 開発したのは、「色変調」による情報埋め込み技術。カラーLED照明のRGBの各色成分から発する光の強弱を時間方向で制御し、わずかに変化させることで、その光を照射した物にID情報を付与する。1つのLED照明につき、1つのID情報を付与。LED照明に限らず、プロジェクターの照明などにも応用できるという。

 物に光が反射する際、物体の色や反射率によって各波長に埋め込んだ信号の一部が吸収され、弱くなってしまうことがあるが、カメラで撮影した映像に反射を考慮した補正を行うことにより、情報の検出精度を高めることに成功した。

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 NFCタグやQRコードなどの識別情報を物に直接貼り付ける従来の技術では、物の美観を損ねたり、対応機種が限られたりするという課題があった。GPSのように物の位置情報をベースにした技術もあるが、目の前にある商品など個々の物単位で異なる情報を付与することは難しかった。

 新技術は、NFCタグを張り付けられない美術品や、店頭の1つ1つの商品などにもID情報を付与することが可能。同社は今後、さまざまな設置環境で評価検証するとともに技術の精度を向上させ、2015年度中の実用化を目指すとしている。

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