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モバイル端末のみで大規模なライブ映像配信を可能に NEC「インフラレス通信技術」開発

» 2014年11月20日 12時51分 公開
[ITmedia]
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 NECは11月20日、スマートフォンやタブレットなどモバイル端末を複数接続してネットワークを構築し、ライブ映像を配信できる「インフラレス通信技術」を世界で初めて開発したと発表した。Wi-FiやLTE/3G回線のない場所や回線が混雑している環境下でも、大規模なライブ映像配信が可能としている。

 Wi-Fi機器同士でP2P通信できる「Wi-Fi Direct」を活用。50〜200メートルおきに配置した端末間で即座にネットワークを構築し、データを中継してリアルタイムな映像配信が行える。端末が移動してもネットワークが維持できる技術や、同一の周波数チャネルを利用している端末が多い場合でも通信を維持する技術などを導入した。

 通常は端末間で接続のたびに必要となる暗号鍵をキャッシュしておくことで、端末が移動して接続が一時的に切断された場合でも1秒程度で別の端末に再接続し、ネットワークを維持。Wi-Fi Directのグループ間で数台の端末を短周期に入れ替えて情報をリレーすることで、多数のグループ間の通信を可能にし、高速で大規模なネットワークを実現した。

 映像を中継する途中の端末からのデータ転送が途切れても、同一の映像を保有する別の端末からデータの転送を自動継続できる「配信元切り替え技術」も開発。中継端末を適当に配置するだけで冗長化できるので、映像配信の確実性が向上するとしている。

 同一の周波数チャネルを利用している端末数が多い場合、周波数が競合して通信できなくなることを抑制する技術も開発。複数の周波数チャネルを切り替えながら、送受信する端末間で相互に配信タイミングをずらすことでパケットの衝突を抑制し、例えば、5つの端末間で通信を行う環境でも伝送速度1Mbps以上の映像配信が可能という。

 新技術により、トンネルや地下、建設中の高層ビルなどの工事現場や大規模災害時など、Wi-FiやLTE/3G回線のない環境下でもライブ映像の配信が可能。スタジアムなど多くの人が集まりネットワークが混雑する環境でも、3G/LTEネットワークに負荷をかけずに、試合やイベントの様子などの映像を、観客の数万台以上のモバイル端末に広く配信できるとしている。

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