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リモートで視覚障害者の目になれるボランティアiOSアプリ「Be My Eyes」

» 2015年01月16日 12時32分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 デンマークの非営利団体Be My Eyesは1月13日(現地時間)、同名の視覚障害者向けiOSアプリを米AppleのApp Storeで公開した。

 eyes

 Be My Eyesは、サービスに登録した視覚障害者と目の見えるボランティア希望者を取り持つアプリ。視覚障害者がiOSのVoiceOver機能を利用してアプリを起動して助けが欲しいと呼び掛けると、それに気付いた世界のどこかにいるボランティアが協力を申し出る。マッチングすると、視覚障害者とボランティアはビデオチャットでコミュニケートする。

 例えば、視覚障害者が冷蔵庫に入っていたミルクのパッケージをカメラに写してボランティアに賞味期限を読み上げてもらったり、駅構内でのリモート道案内などが可能だ。

 eyes 3 ミルクのパッケージを写す
 eyes 2 「どちらがトマトの缶詰?」「このミルク賞味期限切れてる?」など、目の見える人にとっては何でもないことが視覚障害者にとっては助けになる

 これまでに823人の視覚障害者と8491人のボランティアが登録し、1569件のボランティアが実施された。現在日本語を含む30カ国語に対応する。登録の際に言語を選択すると、同じ言語を設定した相手とのみつながる。

 動画システムとしてiOS専用のものを使っているため、iOS以外のプラットフォーム版を開発する予定はないが、Android版やWindows Phone版の開発希望者は連絡してほしいと呼び掛けている。iOS版のソースはGitHubで公開されている

 Be My Eyesは、自身も25歳から視力が弱まっている現在50歳の家具職人、ハンス・ヨルゲン・ワイバーグ氏のアイデアを基に、デンマークの視覚障害者協会が支援し、新興企業Robocatが協力して開発したもの。現在は完全に無償で運営しているが、資金が2015年9月に尽きる見込みで、その後はサブスクリプションモデルあるいは寄付による継続を検討しているという。


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