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「なぜ」「どうなる」を自然文で検索、多様な回答を示す「WISDOM X」 NICTが試験公開

» 2015年03月31日 20時19分 公開
[ITmedia]

 独立行政法人・情報通信研究機構(NICT)は3月31日、自然文による質問に対し、Web上の情報から回答する「WISDOM X」を試験公開した。膨大なWeb情報から得た多種多様な回答を示すことで、ユーザーに“気づき”を与えるのが狙いという。

 自然文による「なに?」「なぜ?」「どうなる?」といった質問にさまざまな回答を提示することを目指したシステム。検索窓に文章を入力すると、10億件以上の日本語Webページの情報をもとに検索結果を示すほか、質問を思いつかない場合、単語を入力すれば質問の提案もしてくれる。

photo 「キーマカレーに何を入れる?」の結果

 一般のWebサーチエンジンと異なり、「どうなる?」という質問では、原因となる事象と、起こり得る帰結の対応関係をWeb上の文から抽出して回答する仕組みだ。「人工知能が進化するとどうなる?」という質問には「人工知能が進化する」という原因に対応する「人工知能が話し相手となり結婚しない人が増える」といった帰結をWeb上から探し出す。

 原因と帰結の連鎖のつながりを探すことで、情報元にはなかった仮説やシナリオを見いだすこともできるという。例えば「地球温暖化が進む→海水温が上昇する→腸炎ビブリオが増殖する→食中毒が増える」という仮説的シナリオを2007年に見つけたが、その際はWeb上にはこうした情報はなかったものの、2013年の論文で実際にこうした事実が観測されていることが分かったという。

photo 「少子化でどうなる」の検索結果

 複雑な要因や影響が考えられる問題に対し、1つの回答を示すことは難しい。WISDOM Xはこうした問題に多様な回答があることを示し、得た気づきをもとに日常生活やビジネスなどでイノベーションを促すのが狙いという。

 今後、より複雑な質問に高い精度で回答できるよう研究開発を進める。将来は科学技術論文や英語を含む他言語への対応を進める。

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