漫画家の要望で開発「ハードGペン」、細い線も自在 「漫画文化支えたい」――職人の手作業でつけペン作り続けるゼブラ
ゼブラは、漫画家の強い要望を受けて作ったという、従来より細い線が自在に描けるつけペン「ハードGペン」を8月24日に発売する。ゼブラの「ペン先課」が延べ1000人の漫画家やイラストレーターからヒアリングし、約4年かけて開発した。10本入りで1620円(税込)。
つけペンは先端にインクを付けながら描く筆記具で、漫画家やイラストレーターがよく利用している。中でも「Gペン」は筆圧によって線の強弱を表現できるが、力加減が難しく、筆圧の強い漫画家は細い線を描くために力をセーブするのが大変だったという。
新製品は、従来のGペンより力を加えてもペン先が開きにくい形を新開発。筆圧に負けず細い線を描きやすくした。力をセーブせずに太い線、細い細を容易に表現でき、漫画初心者でも扱いやすいという。表面にはゴルフクラブなどで使用されるボロンメッキを施し、耐久性を従来品の約2倍に高めた。
「このままではつけペンが失われる」 ゼブラのつけペン物語
つけペンは、外国製品しかなかった1897年に同社創業者の石川徳松氏が国内で初めて生産・販売を始めたという。当時は企業でも使われていたが、やがてボールペンやマーカーが主流となり、現在は漫画やイラストを描くための道具となった。同社ではある時期から熟練の職人の退職により、つけペンの品質が低下していたという。
「このままではゼブラ創業のつけペンが失われてしまう」――危機感を強めた職人たちは一念発起。「つけペンのことは漫画家に聞かなければ」とあらゆるツテを頼ってのべ1000人の漫画家やイラストレーターに会い、つけペンに求める品質をヒアリングした結果、「滑らかに描ける」「耐久性がある」「強い筆圧に耐える」ことが求められていることが分かったという。
滑らかに書ける品質を目指すため、プロの漫画家やアニメ専門学校の生徒など1000人以上に試し書きしてもらいながら書き味を追求。2013年に「漫画用Gペン」として発売したところ、右肩下がりだった売り上げが反転した。耐久性については、従来品の約4倍の長さが描ける「チタンGプロ」を14年に発売。従来品の約3倍の価格ながら予想を上回る売れ行きとなったという。
強い筆圧に耐えられ、ペン先が開きづらいものが欲しいという要望に対しては、多くの漫画家の筆圧を測定し、開きにくい形を半田ごてで手作りして試作を繰り返し、ハードGペンを開発した。5月に都内で開かれた同人誌即売会「コミティア」で来場者に試してもらったところ、「1本でいろいろな線が描けてうれしい」などと好評だったという。
ほとんどの作業が手作り
同社のつけペンは栃木県にある自社工場の最奥部で作られている。機械で作っている部分もあるが、ほとんどは数人の職人が1本ずつ手作りし、できあがった商品はルーペや顕微鏡でチェックしてなめらかな書き味を実現しているという。
漫画業界もデジタル化が進み、PCで描く人も増えているが、自らの手で繊細な表現ができるアナログのつけペンで漫画が描く人が増えるよう、ペン先課では品質向上や商品開発を行っているという。「世界に広がる日本の漫画文化を支えるため、職人たちの挑戦は続きます」(同社)。
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