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熊本地震・支援ニーズの把握にIT DARTが先遣隊を派遣ITソリューション塾

» 2016年04月18日 14時48分 公開

 私が理事を務める一般社団法人「情報支援レスキュー隊(IT Disaster Assistance and Response Team、略称:IT DART)」は、熊本の地震の状況と支援ニーズを把握し、地元とのチャネルを開くため、4月16日から先遣隊4人を被災地に派遣しました。私もそのメンバーとして現地へ向かいました。またFacebookに今回の震災に関わる情報を共有・集約するページを立ち上げました。

 私は、4月14日に発生した地震の一報を聞いたときその震度の大きさに、これは大変なことになったと思いました。しかし、その後の報道や現地からの情報によると被害は局所的なものであり、避難していた一部の人たちは家に戻り始めているということで、我々の出番は無いかもしれないと考えていました。

出典:国土交通省

 その状況が一変したのは、4月16日未明の大きな地震です。状況は一変しました。日が開ける頃から現地の詳しい情報が入り始め、相当の被害が、しかも広域に拡がっているとのことでした。大きな余震が続いているのでボランティアの現地入りは控えるようにとの通達も出ました。

 私は4月16日、前日仕事で滞在していた神戸から始発の新幹線で博多に向かいました。当初は、そこからレンタカーを借りて熊本へ向かうつもりでいました。また、先遣隊の他のメンバーは大阪や東京から熊本空港に入り、そこで合流する予定でした。しかし、この地震のために熊本空港は閉鎖、急遽博多に集合することとなり、そちらで情報収集と今後の対応を検討することになりました。

 午前8時30分、最初に博多に着いた私は、前線拠点を確保しなければならないと考え、地元の知り合いにすぐに連絡、休日にもかかわらず駅前にあるオフィスの一角を提供していだくことができました。

 いずれにしろ、まずは情報収集です。ネットの情報や既に被災地に入っているボランティア仲間との連絡を試みました。その後、福岡在住の方が熊本の方と連絡をとって頂いたり、熊本から避難されてきた方をご紹介頂いたりと、当事者から被災地の生々しい現実が続々ともたらされ、これはただ事ではないという実感をさらに深めることになったのです。

 道路の寸断や家屋の倒壊なども大変なことですが、加えて深刻なのは避難者のことです。報道される避難者数は、自治体指定の避難所にいる方に限られています。自主的に頑丈な建物に避難した人たち、建物が怖くて空き地や運動場にクルマを止めてそこで寝泊まりするたちは含まれていません。その数を含めれば、「発表の10倍はいる」という地元の声もありました。

 今回は、揺れが大きく被害が大きかったことに加え、二度の地震で家の中に家財が散乱し居場所がなく、続けて起きる地震に建物が倒壊することを心配した人たちがどんどん避難所に集まったものの、キャパシティは限られ、立錐(りっすい)の余地もありません。そのために自主避難せざるを得ない状況になっています。また、そういう自主避難者には水や食料などの支援物資も配給されないといった事態も起こっています。

 私たちIT DARTはそういう行政や報道が埋められない情報を収集し、きめ細かな支援つなげられないかと考えています。

 博多での情報収集や地元の方のご紹介のかいもあり、熊本県合志市の消防団とつながり翌4月17日に現地へ向かうこととなりました。私は、博多に残り現地でのバックアップ、そして他の3人は博多から西鉄で大牟田に向かい、そこからレンタカーカーを借りて合志市へ向かい、さらに熊本市内にはいることができました。東京には後方支援部隊が体制を整え、情報の集約や整理をするという体制です。

 現地へ行けば被害の実態を肌で感じることができます。また、地元の方とのつながりも生まれます。そういうことが、有効な対策を検討するために如何に重要かを改めて実感することとなりました。活動の内容や経緯の詳細は、こちらに紹介していますので、よろしければご覧下さい。

 私たちIT DARTは、被災地での情報を収集し、それを支援して下さる方々につなげ効果的な支援ができるようにするための「情報ハブ」としての役割を果たすことを目的にITに関わる人たちが設立した団体です。そのためのITインフラの構築やITサービスの提供を行うためにITエンジニアも参加しています。もし、ご関心があれば、あるいは、ご協力いただけるようであれば、下記より参加して下さい。

 今回の震災は広域であり、避難所での生活も長期にわたる可能性があります。また、余震も継続して起きていることから、耐震性の高い建物であっても倒壊のリスクが高まる可能性も指摘されています。復興は長期にわたるでしょう。支援も長期に及びます。

 ITに関わる私たちができることを継続して考えていきたいと思いますし、多くの皆さんもご参加いただければと願っています。

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