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2016年05月20日 09時00分 UPDATE

クラウドファンディング「成立」のその後:「都会のマンションの閉塞感がいやだった」 任天堂出身エンジニアが“4K映像デジタル窓”に込めた思い (1/3)

無味乾燥な部屋の壁が「大自然」に早変わり――そんな4K映像デジタル窓を任天堂出身の技術者が中心となって開発した。彼らはなぜ任天堂を飛び出し、デジタル窓に情熱をささげることにしたのか。開発元CEOに聞いた。

[矢内加奈子,ITmedia]

 いつもの部屋で気分を変えたい。自然を感じたい。全く違う世界を感じたい――壁に置くだけでそんな夢を叶えてくれるアイテムがある。任天堂出身の技術者が中心になって開発した「Atmoph Window」。昨年6月にクラウドファンディングサービス「Makuake」に登場し、目標の100万円を大きく上回る679万円を調達して注目を集めた。

photo Atmoph Window

 Atmoph Windowは、世界中の数百種類の風景から、好きな景色の動画をスマートフォンで選んで映せる“デジタル窓”だ。映し出す風景は全て4Kカメラで撮影。木の葉の小さな揺れまでを再現し、その場にいるような感覚を得られるという、まるでドラえもんの世界で見た「どこでもドア」のようなアイテムだ。

 開発したのは、任天堂出身の技術者が2014年に京都府で立ち上げたスタートアップ・アトモフ。彼らはなぜ任天堂から独立し、Atmoph Windowの開発を始めたのか。クラウドファンディングでの資金調達に至った理由や、プロジェクト成立後の状況は――同社の姜京日(かん・きょうひ)CEOに聞いた。

4K技術の進歩に「起業するなら今」 一念発起で任天堂から独立

 アトモフの起業前は、任天堂でハードウェアやweb UIの開発に携わっていた姜さん。Atmoph Windowの構想を思いついたきっかけは、約10年前の実体験にさかのぼるという。

photo 姜さん

 「かつて米国で暮らしていた際、自分の部屋の窓を開けるとすぐ隣にビルがあり、開放感がなくリラックスできないのがとても不満だった。その時から、さまざまな風景を映し出すデジタル窓があったらいいなと思っていた」(姜さん)

 そんな思いを抱えながら過ごしていた中、4Kカメラをはじめとする新技術が続々と実用段階に。「起業するなら今だ」――そう感じ、当時勤めていた任天堂を2014年夏に退職。一念発起でAtmoph Windowの開発に着手した。

 プロトタイプが完成すると、15年春に米国のクラウドファンディングサービス「Kickstarter」で先行予約販売をスタート。プロダクト開発段階で開発/製造資金が手に入る点に魅力を感じたほか、早期の海外展開を視野に入れていたからだ。

photo スマートフォンやApple Watchの専用アプリで200種類以上の風景映像を選んで流せる
photo 風景映像に重ねて時刻や天気などの情報を映し出したり、鳥の声のアラームを設定したりすることもできる
photo ユーザー自身が撮影した動画も、専用サイトにアップロードするだけで映し出せる

 当然、Kickstarterでの支援者の多くは欧米の人々。「資金調達と同時に海外から反応を得られた点はとてもよかった。ただ、やはりページが英語ということもあり、日本の人々からの支援は少なく、日本からの意見も聞きたいと思っていた」(姜さん)。そこでKickstarterでのプロジェクト終了後、日本向けにMakuakeで資金調達プロジェクトをスタート。多くの人々の注目を集め、最終的に679万円の資金を集めた。

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