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2016年06月28日 11時00分 UPDATE

「今や雑誌は情報ではなく“雑貨”」――女性向けWebメディア「MERY」が紙の雑誌を創刊した理由 (1/4)

月間2000万UUを超える女性向けキュレーションサービス「MERY」が3月に雑誌を創刊。全国でほぼ5万部が完売する反響となった。出版不況や雑誌離れが叫ばれる今、Web/アプリを飛び出し、あえて紙のメディアに挑戦した理由とは――。

[山崎春奈,ITmedia]

 ファッションや美容に関する情報を集約した女性向けキュレーションサービス「MERY」。2013年4月のリリースから約3年経ち、月間ユニークブラウザ数(PC、スマホ累計)は2000万を超える規模に成長している。

 20〜30代の女性がユーザーの約7割を占め、アクセスの9割がスマートフォンからだ。15年7月にリリースしたアプリは、今年5月に500万ダウンロードを超えた。

photo 雑誌になった「MERY」。創刊号の表紙は有村架純さん

 若い女性に高い認知を持つ「MERY」が、Webを飛び出して紙の雑誌を創刊したのは、今年3月。雑誌がWebやアプリを展開する例や、流行のWebサービスやアプリがムックや雑誌の特集で取り上げられるケースはあっても、サービス名を冠した雑誌を自ら立ち上げるのは珍しい。キュレーションサービスとしてユーザーによる投稿も多く、スマホでの閲覧に最適化したメディアをどう“雑誌化”するのか注目を集めた。

 第1号は、カバーガールに有村架純さんを起用し、ピンクを基調としたガーリーな雰囲気だ。Web掲載時に人気の高かった記事コンテンツをさらに掘り下げるなど、デジタルコンテンツとの連携を強く意識した作りになっている。Instagramを思わせるフィルターのかかった写真や「#ピンクの力を信じてる」「#スニーカーでヘルシーに」「#いつもドキドキしてたいの」などハッシュタグのような目次も特徴的だ。

photo フィルターがかかったような写真
photo ハッシュタグのような目次

 Webのユーザー層と同じ20代の女性をターゲットに3月末に発売し、5万部がほぼ完売した。他業種から参入して創刊する雑誌としては「比較的挑戦的な部数」だが「せっかく出す以上、これくらいのボリュームで売りたかった」と、プロジェクトを束ねたペロリの野崎耕司コンテンツ事業部長は話す。大きな反響を踏まえ、8月には第2号の刊行も決定した。

 出版不況が叫ばれる今、なぜ雑誌にチャレンジしたのか。Webと雑誌の“誌面”作りの違いとは。Webメディアと雑誌は共存できるのか――発刊に至る経緯や今後の展望を聞いた。

Webメディア運営のノウハウを生かして

photo Webメディア「MERY」

 「MERY」が生まれたのは2013年。「女の子の毎日をかわいく。」をテーマに、女性向けのファッションや美容、ヘアアレンジの情報にフォーカスして成長してきた。

 当初は流行のファッションやヘアアレンジを画像やテキストでまとめるキュレーションサービスとしての面が強かったが、規模が拡大するにつれ、企画からスタイリング、撮影まで一貫して社内で行うオリジナル記事に力を入れてきた。雑誌の創刊も、この企画力・編集力の向上があったからこそ実現したという。

 創刊に向け、プロジェクトが始動したのは昨年秋ごろ。サービスリリース時から「いつか雑誌も」という展望はあり、ファッション誌出身の編集者などが複数人編集体制に加わったことで、具体的に形になった。

 「MERYを日々楽しんでくれているユーザーに、もっと好きになってもらうために」を掲げ、これまでWeb/アプリで発信してきた記事で反響が大きかったテーマを誌面に反映した。「毎日かわいいを育てる22のこと」という特集名や内容をはじめ、各コーナーのタイトルのつけ方や写真や文章の表現なども、時々刻々とページビュー(PV)やSNSで反響が表れるWebサービスの運営で得られたノウハウを生かしているという。

 「これまでWebで完結していたものを違う見せ方にすることで、メディアとしてさらに大きく育て、存在感を高める一歩にしたかった。数字で見えているMERYの読者の興味関心に寄り添いつつ、ものとして愛着が持てる雑誌という形で、Webではできない表現にチャレンジしたいという意欲を持って始めた」(野崎部長)

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