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2017年03月01日 08時00分 UPDATE

STORIA法律事務所ブログ:人工知能が作ったものは誰のモノ? 弁護士が体を張って解説してみた (1/3)

AI(人工知能)が及ばないとされていた“クリエイティブ領域”の進歩が著しい。AIが描いたコンテンツの権利は誰にあるのか。AIと著作権に詳しい弁護士の柿沼太一さんが解説する。

[柿沼太一,ITmedia]

この記事は「STORIA法律事務所」のブログに掲載された「人工知能がコンテンツ業界に与えるインパクトを考えると冷や汗が出てくる」(2016年3月20日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。

 「人工知能が描いた絵がすごい」というツイートが昨年話題になりました。

 これ、確かにすごい。「A Neural Algorithm of Artistic Style」という論文が原理を説明してくれているようですが、数式なんかも出てきて難解そうなので、取りあえずサービスだけ利用してみました。

 サービスの名前は「DeepArt」。加工したい写真と、スタイルを表す画像を1点ずつアップロードすると、人工知能がその写真をそのスタイルで加工してくれるサービスです。

 例えばこちら。花を撮影した写真に静物画のスタイルを付け加えることで、元の写真の印象は残しつつ、かなり異なるイメージの写真出来上がっています。

使い方はとても簡単

 サービスの利用方法はとても簡単です。左側の「YOUR PHOTO」のところに加工したい写真を1枚アップロードし、右側の「STYLE IMAGE」にはスタイルを表す画像を1点アップロードして「submit」を押すだけです。

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 無料でも利用できるのですが、現在はかなり申し込みが殺到しているようで、無料サービスだと申し込んでから完成まで4000分ほどかかるようです(2016年3月20日時点)。ただ、そこはちゃっかりしておりまして、2ユーロ支払えば15分で完成させてくれます。

 私も早速利用してみましたが、衝撃の結果が出ました。それはまた後で紹介しますが、気になったのは、このように人工知能を用いて制作された作品の著作権はどうなるのか、ということです。

ある作品を元に、別の作品を制作した場合の著作権

 それを考える前提として、ある作品を元に別の作品が作成された場合の著作権の考え方について押さえておきましょう。

 Aさんが著作物Xを制作し、次にBさんが、著作物Xを元に、自分なりの創作性のある表現を付け加えて著作物Yを作成したとします(Aさんの了解の有無はここでは問いません)。

 このとき、著作物Yが著作物Xに類似している場合(表現上の本質的な特徴を感得できる場合)には、著作物Yを著作物Xの「二次的著作物」と言います。

 二次的著作物となると、著作物Yを創作したBさんだけでなく、原著作物Xの著作者であるAさんも、二次的著作物についてBさんと同一の権利を持ちます(著作権法28条)。

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 つまり、二次的著作物Yについては、AさんとBさん両方が権利を持つ、ということになりますので、仮に誰かが二次的著作物Yを利用したい場合には、その両者の承諾を得なければならない、ということになります。

 ただ、ある作品を元に別の作品を制作した場合全てが「二次的著作物」となるわけではありません。

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