米航空宇宙局(NASA)は4月13日(現地時間)、土星の衛星「エンケラドス」に水素分子が存在することが分かったと発表した。エンケラドスに広がる海の底から熱水が噴き出し、生命が存在できる条件が整っている可能性があるという。
エンケラドスは、表面が氷に覆われた直径500キロほどの衛星。氷の下には液体の海が広がり、氷の割れ目を通じて水が宇宙に噴き出している。土星探査機「カッシーニ」が観測した噴出物の成分を分析したところ、約98%は水だったが、約1%が水素分子、その他に二酸化炭素、メタン、アンモニアなどの分子が含まれていると分かった。
この分析結果は、エンケラドスの海底から熱水が噴き出し、岩石と反応して水素分子が生成されている――という学説を裏付けるものという。こうした環境下に微生物が存在すれば、水に溶解した二酸化炭素と水素を組み合わせてエネルギーを作れると、研究チームは指摘している。
生命が存在するには、主に炭素、水素、窒素、酸素、リン、硫黄などの化学成分が必要とされる。NASAの研究チームは、エンケラドスの海にリンと硫黄が存在するかを確認できていないが、エンケラドスの岩石と類似する隕石からリンと硫黄が見つかったケースもあるため、「これらの成分も存在する」と推測している。
研究成果は、米科学誌「Science」(電子版)に13日付で掲載された。
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