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2017年04月18日 11時39分 UPDATE

はじめてのAI:人工知能を使ってどんなことができるの? 「東京サマーランド」も導入した監視カメラ画像解析サービスを見てきた

これまでに勉強した「顔認識API」と「感情認識API」を使って実際にサービスを提供している企業におじゃましてきました。

[太田智美,ITmedia]

 日本マイクロソフト大田昌幸(おおたまさゆき)先生のもと、AIを勉強して、画像から年齢や性別を認識する「Face API」(関連記事)と感情を読み取る「Emotion API」(関連記事)が使えるようになった筆者。しかし、これらAPIが実際にどのように社会で使われているのか、まだあまりイメージできていません。そこで、「Face API」や「Emotion API」を使って監視カメラ画像の解析サービスを提供しているアロバという会社に行って、実際にどのような場面でAIが活用されているのか、話を聞いてきました。

連載一覧

第1回:AIってなぁに?

第2回:Amazon、Google、IBM、Microsoftが公開する「AIを使うための手段」一覧

第3回:30分でAIが使えるようになる 写真から年齢と性別を認識する「Face API」を試してみた

第4回:感情を読み取る人工知能「Emotion API」を20分で学んでみる

第5回(今回):人工知能を使ってどんなことができるの? 「東京サマーランド」も導入した監視カメラ画像解析サービスを見てきた

第6回(予定):今までで一番楽しいAPIかも? 画像から豊富な情報を抽出して分類・処理する「Computer Vision API」を使ってみる


 アロバが「Face API」と「Emotion API」を使っているサービスは、「アロバビューコーロ」という画像解析サービス。監視カメラと画像解析を組み合わせ、店舗に訪れたお客さんの性別・年齢、新規・リピーター数、滞在時間、感情といったデータをリアルタイムに数値化してくれるというものです。これらのデータは、マーケティングなどに活用できます。使っている技術は、同社が開発している監視カメラ録画システム「アロバビュー」とマイクロソフトの「Face API」「Emotion API」です。

 サービスを試してみると、カメラが捉えた映像をリアルタイムに解析し、年齢や感情、リピート率を数値で出してくれました。事前に要注意人物画像を登録しておけば、リアルタイムに「要注意」と判別し画面上に警告を出してくれるため、盗難・事件などを未然に防ぐことにも役立つそうです。同様の仕組みで、スタッフの顔を登録することでスタッフを抜いた人数カウントも可能です。

 レポートには、マイクロソフトの「Azure Event Hubs」(数百万のイベントを収集、変換、保存してくれるツール)、リアルタイム データ分析を行う「Azure Stream Analytics」、データ可視化ツール「Power BI」を用い、ほぼプログラミングなしでリアルタイムに出力できるそうです。これによって、これまで経験や感覚値で決めていたスタッフ配置場所や人数、お客さんの滞留場所や再訪場所、時間帯による客層の変化といったことが数値として分かるようになります。

来店者数把握(顔検知) → 店員配置最適化

要注意人物検知(顔照合) → 万引き防止

顧客層把握(年齢/性別解析) → 品揃え最適化

従業員接客態度判定(感情解析) → 接客品質向上

顧客表情判定(感情解析) → 顧客満足度評価

新規/既存顧客判定(顔照合) → リピート率把握



はじめてのAI「Face API」「Emotion API」

はじめてのAI「Face API」「Emotion API」

 実はこのアロバビューコーロ、総合レジャー施設「東京サマーランド」や自動車メーカー「マツダ」のイベントなどにも活用されており、東京サマーランドでは、時間帯ごとの来客数や顧客層の把握が行われ、男女ほぼ同数、10〜20代が中心に来ていることや午前中にピークがくることなどが分かりました。また、マツダのイベントでもブース来訪者を対象に東京サマーランドと同じような計測を行ったところ、8割以上が男性、20〜30代を中心に幅広い年齢層が訪れることが判明しました。


はじめてのAI「Face API」「Emotion API」

はじめてのAI「Face API」「Emotion API」

 アロバビューコーロの今後の展開としては、画像内のテキストや著名人の認識など豊富な情報を抽出できる「Computer Vision API」との連携や、botフレームワークとの組み合わせを考えていると、同社CTOの來田泰樹さんは話します。

 最後に、この連載のきっかけともなった「AIってなぁに?」を來田さんに問いかけてみました。


はじめてのAI「Face API」「Emotion API」 アロバCTOの來田泰樹さん

 「おそらく、そんなにぼくらは言うほど真面目にAIをやっていない。真面目にやっている会社がいっぱいある中で、そこと比べて『AIをやってます』なんて、おこがましくて言えません。AIといっても、あくまで手段の1つでしかない。最終的には、お客さんに何を提供できるか、何がうれしいか、というところ。うれしかったら、それがAIだろうが、関係ないです。

 ただ、検索するときはやはり『AI』などのバズワードで探すことも多いし、見つけやすいのは事実です。例えば求人なんかはそのいい例で、AIということばを出した方が有利かもしれません。エンジニアとしては最先端の技術に触れたいだろうし、その方が会社が魅力的に映ることもあると思います。しかしうちの会社が『AI』というキーワードを出していないのは、事業のメインがそこではないから。映像を取り扱って、今まで人の目では見えないところがちゃんと見える化されて、次のアクションにつなげられます、というところが、うちのソリューションの役割りです。だから、AIというところにはこだわっていないし、AIという言葉に反応する人よりも事業の本質に魅力を感じてくれる人に来てほしいと思っています。

 エンジンを作っている会社もエンジンを利用する会社も、あっていいと思います。それは役割りの違いにすぎないからです。うちは、世の中に展開されている技術を自分たちの事業の強みの中に取り入れる方がいい。これからAIを利用する会社として、改正された個人情報保護法にどう対応していくかなど、考えることはたくさんあります」(來田さん)

 【次回予告】今までで一番楽しいAPIかも? 画像から豊富な情報を抽出して分類・処理する「Computer Vision API」を使ってみる

太田智美

筆者プロフィール:太田智美

プロフール画像

 小学3年生より国立音楽大学附属小学校に編入。小・中・高とピアノを専攻し、大学では音楽学と音楽教育(教員免許取得)を専攻し卒業。その後、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科に入学。人と人とのコミュニケーションで発生するイベントに対して偶然性の音楽を生成するアルゴリズム「おところりん」を生み出し修了した。

 大学院を修了後、2011年にアイティメディアに入社。営業配属を経て、2012年より@IT統括部に所属し、技術者コミュニティ支援やイベント運営・記事執筆などに携わり、2014年4月から2016年3月までねとらぼ編集部に所属。2016年4月よりITmedia ニュースに配属。プライベートでは2014年11月から、ロボット「Pepper」と生活を共にし、ロボットパートナーとして活動している。2016年4月21日にヒトとロボットの音楽ユニット「mirai capsule」を結成。


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