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「PasocomMini MZ-80C」に実機でできたあれ、できます? 開発者に聞いた立ちどまるよふりむくよ(1/3 ページ)

» 2017年05月27日 08時41分 公開
[松尾公也ITmedia]

 過去に立ち戻って振り返り続けるこの連載で何度も書いたように、ぼくの最初のパソコン(マイコン)はシャープのMZ-80K2E。MZ-80K、80Cと互換性を持つ1981年発売の廉価モデルだ。

 シャープのパソコンシェアが最も高く、一時期は日本で最も売れていた頃、まだ世の中には16ビットパソコンが存在していなかった時代のパソコンフラッグシップ機「MZ-80C」が4分の1サイズ、Raspberry Pi Model A+ベースで復活、6月1日に予約開始される。

photo PasocomMini MZ-80C(べーマガミニは付属しない)

 実機を持っていたぼくが熱くならないわけはない。が、発表後も情報量は少ない。互換性はどうなんだ、互換性は。

 その「PasocomMini MZ-80C」に関する詳細が、秋葉原ラジオ会館で開かれた製品発表会で明らかになった。

 このミニMZ-80Cはこの連載の前回でも取り上げたが、控えておいた疑問点を担当者にぶつけてみた。

 ミニMZ-80Cにおける最大の謎は、エミュレーションがどのような形で行われるかだ。以前の情報では、ニンテンドー3DS向けなどに提供されているプチコン用のSmileBasicが搭載されていることと、ハードウェアエミュレーションが可能となっていることだけだったが、それがどのように連携されるかが判明した。

 SmileBasicとエミュレータはF1キーで切り替える。それぞれは独立して動くこともでき、SP-1002互換モニタを備えたエミュレータ(画面にはMONITOR2016-11-15とあった)とSmileBasicは並行して動作可能。SmileBasic側からはピクチャー・イン・ピクチャー方式で画面の一部にエミュレータのウィンドウ(emuwindow)を表示させ、そこに「ちょっかいをかける」ことができるという「キメラのような」構造だ。エミュレータ表示の大きさ、位置も指定できる。

 SmileBasic自体に、MZ-80シリーズに標準添付されていたシャープ純正のBASIC、SP-5010/5030などとの互換性はない。もちろんHu-BASICとも。ミニMZ-80C向け開発を担当したスマイルブームの細田祥一さんによれば、アーキテクチャやキャラクターセット、文字コードなどの問題から早期に無理だということがわかって、互換性を持たせることは放棄したという。SP-5030用プログラムリストを読み込んでSmileBasic向けに変換することもできない。その代わりに最新のBASIC機能を持たせ、エミュレータを操作できることも可能にした。GPIOインタフェースを叩いてRaspberry Pieの持ち味であるIoTプログラミングも行える。

 ちなみに、デモで使われたSmileBasicは「SMILEBASIC for PCM ver 3.3」という名前で、67063808 bytes freeと表示される。MZ-80Cのミニチュアではなくて透明ケースに入った開発機で動いている。

photo SmileBasicからエミュレータを操作するスマイルブームの細田さん
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