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「日本がシリコンバレーのルールに従う必要はない」 マストドン作者オイゲン・ロッコさん語る Interop Tokyo 2017 「マストドン」ブリーフィング基調講演マストドンつまみ食い日記

» 2017年06月08日 07時48分 公開
[松尾公也ITmedia]

 Interop Tokyo 2017の「マストドン」ブリーフィングというイベントが6月7日から3日間にわたって開催されている。

 そのトップを飾ったのが、マストドンの作者であるドイツ人青年オイゲン・ロッコさんによる6月7日の基調講演だ。

 さくらインターネット研究所所長の鷲北賢さん、コードを操るタレントの池澤あやかさん、司会は角川インターネット総合研究所の主任研究員で、日本におけるマストドンブームの火付け役である遠藤諭さん。

 オイゲンさんはドイツからSkypeで参加。時差の関係で20分前に「起きた」とトゥートしたばかり。3時間しか寝ていないそうだ。

 池澤さんはプログラマーらしく、オイゲンさんに好きな言語、コーディングのスタイル、生活のパターンなどを質問。オイゲンさんはそれに真摯な態度で答えていったがここでは割愛。

 本題である「なぜマストドンを作ったか」についての回答はこのようなものだった:

数年前、友人から連合(federated)ネットワークについてのアイデアを聞かされた。そのときにはピンと来なかったが、昨年5月あたりからTwitterは些細なことだけど不人気な改変を始め、昨年いっぱい間違った判断を下し続けた。そこで当初のアイデアを思い出し、GNU Socialを発見した。当初はコントリビュートもしていたが、コードを読んで、自分自身で書いてみようと決めた。Twitterのようなものをユーザーに取り戻そうと考えた。TweetDeckにインスパイアされたユーザーインタフェースもつけて。

Twitterがうまくいっていない原因を考えているうちに、それはTwitterだけが悪いのではなく、営利企業であり、中央集権的な会社であるためだと思い至った。広告のやり方、マネタイズ戦略についてはユーザーと運営企業の考えに隔たりがある。

ならば脱中央集権的な仕組みにしてみてはどうかと考えた。Twitterには巨大なデータセンターが必要だけど、マストドンなら1、2台のサーバで済む。

コミュニティー内のルールも自分たちで決められる。日本のルールをシリコンバレーのルールにしばられる必要はない。それはドイツでも英国でも同様だ。

photo ドイツからSkypeで参加したオイゲン・ロッコさん

 「彼は大丈夫だね」

 基調講演が終わり、翌日のパネルディスカッションに参加する古参ジャーナリストたちが事前の打ち合わせをしたとき、みんながうなずきあった。

オイゲンさんにまた会える

 オイゲンさんはもう一度、日本のイベントにSkypeで参加する。

 登壇者は次のとおり(あいうえお順):

  • alarky(大阪丼管理人)
  • 伊藤将雄(ユーザーローカル代表取締役社長)
  • 清水亮(UEI 代表取締役社長兼CEO)
  • TOMOKI++/脇元寛之(ボカロドン運営/SGN代表取締役)
  • 松尾公也(グルドン運営チーム / backspace.fmポッドキャスター)
  • まつもと ゆきひろ(一般財団法人Rubyアソシエーション 理事長)
  • ぬるかる(マストドンインスタンス mstdn.jp 運営者 / ドワンゴ)
  • 鷲北賢(さくらインターネット研究所所長)

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