こんにちは、日本HPでPCの製品企画を担当している白木智幸です。この連載では、PCの周辺機器やパーツ、メーカーサポートの舞台裏、そして次世代のPCなどを広く紹介しています。
季節の移り変わりは早いもので、気が付けば梅雨のシーズンになりました。6月はちょうど上半期が終了し、企業によってはボーナスの出るシーズン。商戦期に合わせてキャンペーンなどが打ち出されるので、欲しかったあの商品をお買い得に手に入れるチャンスでもあります。
ITmedia読者の皆さんは、家電やPCの購入をこの機会に検討する方も多いかと思いますが、家電量販店のPC売り場を見ていると、「プレミアムPC」というキーワードをよく目にする機会が増えてきました。この正体を知っていますか?
「何でもかんでも良く見せようとして“プレミアム”という言葉を付けただけだろう」──そうお考えの方もいらっしゃるかもしれません。実際のところ、そういった意図もあるでしょう。商品を良く見せるために巧みに言葉をつかうのもマーケティング手法の1つです。
とはいえ、プレミアムと名付けただけで販売が伸びれば苦労はありません。残念ながら現実はそんなに簡単ではないのです。
実際にプレミアムPCとうたわれている製品を見ると、高性能なプロセッサ、高解像度のディスプレイ、大容量SSDなど、現在考えられる最高水準のテクノロジーを採用しながらデザイン性も高く、細部のパーツにもこだわった製品であることが分かります。
プレミアムとは「手に入れにくい」という意味もありますが、ここでは「高級な」「特別な」という意味で使われていることが多いようです。つまり、プレミアムPCは高価な部品を採用した高級路線の製品群を表す言葉になっています。
実際にプレミアムPCは通常の製品より高価です。ただし、価格を高く設定したという事ではなく、それだけの価格に見合う「価値」や「体験」が伴っていることを意味しています。
仮に実際の商品性が低いにもかかわらずプレミアムと銘打ったとしても、安っぽさが際立ってしまい逆効果となってしまうかもしれません。価格、価値、体験が伴っていなければ購入しようという意欲が沸かないことは確かでしょう。
職業柄、PCを目にする機会は多いのですが、私のようにメーカーの中の人でも高価なプレミアムPCはおいそれと手が出るものではありません。周囲でプレミアムPCを購入したという話を聞くと、うらやましく思います。
こういった話をすると、「なるほど、“プレミアム”というのはリッチな体験が得られる高級品のことか」と早合点しそうになりますが、なぜこのようなPCの製品ジャンルが登場したのでしょうか。成り立ちをひもといていきたいと思います。
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