PCでフリック入力できる「FlickTyper」なぜ生まれた? 「若者はキーボード苦手とニュースで知って」──開発者に聞く
ネットの利用はスマートフォンで完結するため、PCとキーボードに不慣れな人が増えている──そんな需要をにらみ、使い慣れたスマートフォンをPCのキーボードとして使えるようにする“スマホネイティブ”向けハードウェアを開発した大阪の企業がある。
システム開発を手掛けるインター・ラボ(大阪市)が6月20日に発表した「FlickTyper」は、PCとAndroidスマートフォンの間に挟んでUSB接続することで、スマートフォンからPCの文字入力や操作を行えるようにするデバイスだ。
スマートフォンをPCのキーボードやタッチパッド代わりに利用できるアプリはこれまでもあった。だがその多くは、PC側に専用ソフトをインストールして常時起動しておく必要がある。
FlickTyperの特徴は、PC側に専用ソフトをインストールする必要がないところだ。OSが備える入力インタフェース用の標準ドライバを使用するため、FlickTypeとスマートフォンをPCに接続するだけで、通常のキーボードと同じように使える。
20日の発表直後から、ネット上では「やった! 欲しいと思っていたものが本当に出た」「こんなのいらないよ」「時代だね~」など、賛否両論の声が続出している。
なぜFlickTyperが生まれたのか、開発チームに聞いた。
きっかけは「ニュースを見て」
「最近の新入社員や大学生はキーボードのタイピングが苦手で、人差し指で打っている状況というニュースを見た。それが開発のきっかけ」──そう語るのは、FlickTyper開発チームの三村貴志さんだ。
三村さんは“今どき”の若者事情をニュースで知り、「技術で解決できるのではないか」と、2017年に入ってから個人で開発に着手。3月からは社内で正式にプロジェクト化し、5月末には製品化にこぎ着けた。
「キーボードが打てない“スマホネイティブ”世代でも、やり方次第では高速に入力できる」(三村さん)
ユーザーの環境を考え、利便性にもこだわった。FlickTyperを使用するには、スマートフォン側に専用アプリをインストールする必要があるが、PC側は不要にした。実際に使われるであろう企業や学校のPCでは、必ずしも自由にソフトウェアをインストールできるわけではないからだ。
セキュリティ的な懸念点も少なく、ユーザーと管理者双方にメリットがあることから、このような実装に至ったという。
FlickTyperのメインターゲットはスマホネイティブ世代。一方、けがをした人や片手が不自由な障害者にも使ってもらえることも想定して開発した。発表後の反響の中には、半身まひの人からの高評価もみられたという。
三村さんは「医療機関や障害者のサポートを行う施設などでも役立てられるのでは」と考えている。
自分たちの手でオリジナル製品の事業を
インター・ラボの事業は、他社からの受注によるシステム開発や運用がメイン。しかし、社内では「自分たちでオリジナルの事業を進めていきたい」という声が以前からあったという。
「これまで自社製品の販売実績がないため、実際にどれくらい売れる物なのか、見通しが立っていないのが現状。(製品が注目されるまでは)1台も売れない可能性すら考えていた」(三村さん)
FlickTyperの販売目標数は5000台に設定。今後も機能強化版の開発を検討していくという。大阪生まれの“時代を反映するデバイス”は、スマホネイティブ世代の救世主になれるだろうか。
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