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GNU social、Mastodon、Yayaka19 分散SNSの課題と未来マストドンつまみ食い日記

» 2017年07月01日 23時48分 公開
[松尾公也ITmedia]

 7月1日、マストドン(Mastodon)関連の一風変わったイベントが開催された。

 江戸川区葛西の区民会館で開催された「分散SNSフォーラム」は、マストドンに先行する分散SNSであるGNU socialをよく知る墓場人夜さんと、従来の問題点を解決する分散SNS「Yayaka19」を独自に開発中のRyo33さんが登壇し、参加者と熱気にあふれた議論をした。

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 このときの発表資料はオンラインで見ることができる。マストドンつまみ食い日記で紹介したときよりも大幅にドキュメントがアップデートされており資料価値が高いので、一読をお勧めする。

 一部のGNU socialとマストドンとの対立構造に、ポリコレ対反ポリコレの動きが関わっていることや、営利・非営利問題、サーバ管理者による統治問題など、様々な争点が従来から存在しており、それらがマストドンで顕在化する可能性があることを指摘するなど、インスタンス管理者にとっても有益な情報が多かった。

 GNU socialでの先例が規模や構造がやや異なるマストドンでどう変わっていくかは未知数だが、少なくとも参考にはなるだろう。墓場さんの発表ドキュメント内で「地域丼壊滅予想」などの刺激的な言葉が使われていたが、発表ではLTLを中心にしたインスタンスを維持していくことの課題(エコーチャンバー、異常者の襲撃への対応など)を明確にしていった。

 この発表のために鹿児島から参加したというRyo33さんは、現在のOStatus(将来的にはActivityPub)では解決できない課題を解決するためにプロトコルレベルから独自設計した分散SNS「Yayaka19」について説明。

 ユーザー登録、永続化、ソーシャルグラフ、UI、通知を1つのインスタンスがまとめて持たなければいけないOStatusと異なり、Yayakaではインスタンスごとに必要なものだけを立てればよくなるという。

 Yayakaの最新の実装は2カ月以内に完了を予定しているので、その実用性が検証されるのが楽しみだ。

 Ryo33さんはさらに、分散SNSフォーラムを、意思決定の権利分散、独裁インスタンスからの難民保護、資本によらない共同体の形成など、非分散Webサービスへの牽制として提案した。

 次回「連合SNSフォーラム」は9月2日開催が決まった。詳細は未定。

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