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2017年08月22日 09時42分 UPDATE

太田智美がなんかやる:野菜で自分の顔を描く技術がおもしろい 上野の「アルチンボルド展」に人だかり

ひげはディープラーニングを活用。

[太田智美,ITmedia]

 花や果物、動物などを組み合わせて顔を描く作品で有名な、ジュゼッペ・アルチンボルドをご存じだろうか。そんな彼の作品を集めた展覧会「アルチンボルド展」が東京・上野の国立西洋美術館で開かれている(6月20日〜9月24日)。

 この展覧会、もちろん飾られた作品群も素晴らしいのだが、記念撮影コーナーにある「技術」が話題を呼んでいる。「アルチンボルドメーカー」だ。

 アルチンボルドメーカーは、アルチンボルドのように野菜や果物で自分の顔を描いてくれるというもの。約200種類の野菜や果物を3Dモデル化し、それらを組み合わせ数百パターンの肖像画を作れる。



 額縁の前に立つと、野菜や果物がゴボゴボと湧き上がり、みるみるうちに顔の形に。顔はマイクロソフトのKinectで認識し、「髪型」「目」「鼻」「口」「顔の形状」などのパーツに分類。顔を構成する要素をバラバラに処理しているという。

 顔が出来上がると、リアルタイムに追随。頭を左右に動かしたり、口を開け閉めしたりすると、それに応じて肖像画の野菜や果物も動く。


上野「アルチンボルド展」 Unityを活用しており、リアルタイムで動く。しばらくすると「写真撮影モード」に切り替わり、肖像画と並んで一緒に写真を撮れるよう勝手に動く

 照明などのちょっとした影響で顔が変わるため、同じ人がやっても違う肖像画が現れるのも魅力の1つ。何度でも並び、やってみたくなる。

 ところで、アルチンボルドメーカーはどのように作られたのか。開発者であるドットバイドットの富永勇亮さんとSaqooshaさんに話を聞くと、意外な仕組みが見えてきた。

人間は「髪型」が命

 実はこれ、11人の男女(男性6人、女性5人)がモデルになっているという。「太い」「細い」「若い」「年寄り」といった軸で写真を割り振り、それぞれに振り切れている人を抜き出す。すると、ある程度の“人間の分類”ができる。

 その11種類の人間を、まずはイラストに。人の顔を野菜でモデリングするのは難しく、まずは人の特徴を描くプロに、イラスト化してしてもらうのだという。それができたら、今度は野菜を当てはめていく。こうして、11人の男女のパーツをばらばらにして組み合わせ、野菜の肖像画ができる。最後に、アルチンボルドっぽいエフェクトかけて完成だ。

 中でもキーとなるのが髪型。人間は髪型で「似ている」「似ていない」の判断をすることに、途中で気付いたという。そこで、髪型は20種類を用意。この中から、近い髪型を表示するよう設計しているそうだ。ちなみに、色を合わせることはしていない。


上野「アルチンボルド展」 目、鼻、口は大きさで選ばれる。メガネの有無は、Kinectのメガネ判定SDKで行っている

 ひげの有無を認識するのには、ディープラーニングを活用。当初、ひげのない人にもひげが生えてしまうという現象が起き、原因を探るためKinectで撮影した映像を見ると、彫りの深い人やほうれい線のある人にひげが出てしまうことが分かったそうだ。そこで、ほうれい線とひげの画像を6000枚ほど学習させ、認識率を高めたという。

 「自分の顔をアルチンボルドが描いてくれるとしたら、どんな野菜が使われるのだろう」――アルチンボルドメーカーは、そんな夢をかなえてくれるステキな額縁だった。

太田智美

筆者プロフィール

プロフール画像

 小学3年生より国立音楽大学附属小学校に編入。小・中・高とピアノを専攻し、大学では音楽学と音楽教育(教員免許取得)を専攻し卒業。その後、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科に入学。人と人とのコミュニケーションで発生するイベントに対して偶然性の音楽を生成するアルゴリズム「おところりん」を生み出し修了した。

 大学院を修了後、2011年にアイティメディアに入社。営業配属を経て、2012年より@IT統括部に所属し、技術者コミュニティ支援やイベント運営・記事執筆などに携わり、2014年4月から2016年3月までねとらぼ編集部に所属。2016年4月よりITmedia ニュースに配属。プライベートでは2014年11月から、ロボット「Pepper」と生活を共にし、ロボットパートナーとして活動している。2016年4月21日にヒトとロボットの音楽ユニット「mirai capsule」を結成。

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