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復活なるか新生VAIO、5.7億円の黒字「NOKIZAL」決算ピックアップ

» 2017年09月12日 12時14分 公開
[NOKIZALITmedia]

(編集部注)本記事は、執筆時に公開されていた決算公告に基づいたものです。

 VAIO(長野県安曇野市)が9月11日、官報に掲載した2017年5月期(16年6月〜17年5月)決算公告によれば、売上高は188億6000万円(昨年同期は198億円)、経常利益は5億7300万円(昨年同期は3600万円)、累積の利益や損失の指標となる利益剰余金は5億9100万円(昨年同期は6億1100万円)だった。

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 VAIOは14年設立。ソニーが「VAIO」ブランドとして展開していたPC事業を、企業再生ファンドの日本産業パートナーズが引き継いで誕生した。安曇野市に本社があるのは、VAIOの生産拠点が旧ソニーイーエムシーエス長野テクノロジーサイトにあるため。

 もともとVAIOは、ソニーが「HiTBiT」で一度は撤退したPC市場に再参入するため、96年に発売したPC。充実したAV機能と、ブランド名を想起させる「violet」(すみれ色)のデザインを武器に、出荷台数こそ多くはないものの、一部で熱狂的な支持を集めた。

 しかしVAIOの出荷台数を増やすべく、09年に新興国市場向けに低価格のネットブックを投入し、失敗するなどして失速。その後は出荷台数が減少、赤字に陥り、再編に伴う事業譲渡となった。

 譲渡後は、1000人を超えていた従業員を250人ほどまで絞るとともに、一般向けPCの販売から企業向け高性能PCの販売に軸足を移行。これまでソニーが培ってきた技術や製造設備を生かしたEMS(電子機器の受注生産)事業も立ち上げ、黒字化に成功している。

ここがポイント

 事業譲渡後は、上記の通り粛々と事業再生に取り組んできたVAIOですが、17年8月には、CG制作などを行うベンチャー企業ABALに出資し、VR(仮想現実)事業へ進出することを発表しています。果たして、かつて時代をリードしたソニーの遺伝子は復活するのでしょうか。

 ちなみに「VAIO」のネーミングとロゴデザインは、「プレイステーション」シリーズのデザイナーである後藤禎祐氏が担当。“VA”の部分は波でアナログを、“IO”の部分は1と0でデジタルをイメージしており、アナログとデジタルの融合をスローガンにしています。そういう意味では、VRは今の時代のVAIOが挑戦するにはふさわしいテーマなのかもしれません。

VAIOの過去業績、他の企業情報は「NOKIZAL」で確認できます

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《著者紹介》

平野健児。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの「SiteStock」や無料家計簿アプリ「ReceReco」他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業し「NOKIZAL」を運営中。

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