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壊れたiPhone 5を復活させたママ【新連載】ママとわたしと「iPhone X」

» 2017年11月15日 16時23分 公開
[太田智美ITmedia]

 10日27日午後4時1分、ソフトバンクのオンラインショップで「iPhone X」を予約した。5分ほど前からソワソワしながら、PCの前で待ち構えて。

 実は、約5年使っているママ(31歳の筆者の母親)の「iPhone 5」の調子が最近あまり良くない。アプリの挙動がおかしいだけならまだしも、ホームボタンが押せないという致命的な故障だ。

 グッとホームボタンを押し込めば偶然作動することもあるが、ほぼ無反応。ホームボタンが使えないと何が不便かというと、一度電源を切らなければホーム画面に戻ることができないことだ。もちろんホームボタンのダブルクリックも使えないため、アプリの切り替えもできない。つまり、アプリを一度立ち上げるとホーム画面に戻れないため、一度電源を切って再起動しなくてはならない。SMSメッセンジャーを立ち上げては電源を切り、LINEを立ち上げてはまた電源を切り……こんな具合いだ。

 筆者は「新しい携帯電話に買い替えるか、修理に出そうかな」と相談を受けたが、職業柄あと数週間で新しい機種が発表されると分かっていながら「そのほうがいいよ!」という感じでもなく、ママはその壊れたiPhone 5を1カ月ほど使い続けていた。


壊れたiPhone 5とママ壊れたiPhone 5とママ ホームボタンが壊れたiPhone 5

 そんなママに、iPhone Xをプレゼントしたかった。ママはピアノの先生で、表千家茶道教授(4代目)。PCは持っているが文字入力ができるくらいで、MicrosoftのWordを使っているのかExcelを使っているのかも判断つかないレベルだ。

 もちろん機種変更時にデータをバックアップしたり、新端末にデータを移行したりなんてことも1人ではできない。久しぶりに家でママと過ごし、iPhoneのデータ移行を一緒にやろうとしていたときだった。

 「Hey Siri」

 ママがホームボタンの効かないiPhone 5に向かって、Siriを呼んだ。

 「Hey Siri。Facebookアプリ開いて」――ママが言うと、「まず、iPhoneのロックを解除してください」とSiriが答える。パスコードを入力するとFacebookアプリが開いた。

 「LINEアプリ開いて」──LINEのアプリが開いた。

 この1カ月、壊れたiPhone 5に不便さを感じながら、ママは私の知らないところで新しい使い方を見つけていた。ホームボタンが動かない壊れたiPhoneとママ。そんな2人の会話を初めて聞いて、最近自分がほとんど家にいないことに気が付いた。


壊れたiPhone 5とママ 筆者のママ

 また昔みたいに、ママと一緒にいる時間をもう少しだけ増やせたらいいな。

太田智美

筆者プロフィール

プロフール画像

 小学3年生より国立音楽大学附属小学校に編入。小・中・高とピアノを専攻し、大学では音楽学と音楽教育(教員免許取得)を専攻し卒業。その後、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科に入学。人と人とのコミュニケーションで発生するイベントに対して偶然性の音楽を生成するアルゴリズム「おところりん」を生み出し修了した。

 大学院を修了後、2011年にアイティメディアに入社。営業配属を経て、2012年より@IT統括部に所属し、技術者コミュニティ支援やイベント運営・記事執筆などに携わり、2014年4月から2016年3月までねとらぼ編集部に所属。2016年4月よりITmedia ニュースに配属。プライベートでは2014年11月から、ロボット「Pepper」と生活を共にし、ロボットパートナーとして活動している。2016年4月21日にヒトとロボットの音楽ユニット「mirai capsule」を結成。

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