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» 2017年11月15日 16時23分 公開

マストドンつまみ食い日記:Mastodonに続く新たな連合型SNS「Pleroma」作者に聞く 開発の背景、特徴、ロードマップ

いきなり現れたかに見えたPleroma、その実態は意外にも堅実なものだった。

[松尾公也,ITmedia]

 TwitterやFacebookなどの商用ソーシャルネットワークへの対抗軸として生まれたオープンソースソフトウェアのマストドン(Mastodon)だが、そのライバルと目される新興SNS「Pleroma」(プレロマ)は同じプロトコルを話し、互換性があり、軽量だ。

 Pleromaも同じくオープンソースソフトとして公開されており、既に数十のコミュニティーが生まれている。その中には新しもの好きのMastodonユーザーが立てた日本のインスタンスが複数含まれる。

 いきなり登場した謎のSNS、Pleroma。その開発意図を探るべく、開発者のlainさんにコンタクトを取り、メールインタビューを行った。

photo lainさんが運営するPleromaインスタンスのlainさんアカウント

――Pleromaがここ数日で日本でも大きな反響を呼んでいます。ITmedia NEWSでも取り上げました。まずは、lainさんのバックグラウンドを教えていただけますか? ドイツ在住とうかがってますが。

lain わたしはベルリンに住んでいて、Rubyのプログラマーとして、主にソフトウェアテスター向けソーシャルネットワークの開発に携わっています。大学ではコンピュータサイエンスと日本語を学び、京都に半年住んでいたことがあります。プログラミングはだいたいRubyとJavaScriptですが、高速なバーチャルマシンと関数型プログラミングができるExlixirに個人的な興味を持ちました。

――Pleromaはどういう経緯で、いつ頃から始めたのですか? GNU socialやMastodonとの関係は? Mastodonブームの影響はありましたか?

lain GNU socialサーバを立てたのが2015年で、2016年にはかなり使っていました。Mastodonブームが起きる前のことです。GNU socialはちょっと古くて遅いソフトウェアで、コードは読むのも修正するのも難しいものでした。わたしの前職ではSNSを仕事にしていたので、ActivityPubをサポートしたGNU social互換サーバを自分で新しく書いてみようと思ったのです。

 1年ほど前、最初に取り組んだのはフロントエンドの「Pleroma FE」で、FEとはFront Endの略です。GNU socialのために作ったので、まずはそれで動かしました。このフロントエンドが使える段階になると、バックエンドをElixirで開発し始めました。1年半ほど前のことです。

 目標としたのは、高速でリソースをあまり消費しない、高品質のコードで書かれたサーバです。GNU socialからPleromaへの移行ができるようにして、GNU socialのインスタンスをActivityPubにスイッチさせたかったのです。

――日本でいち早くPleromaインスタンスを立てたNCLSさんはPleromaのフロントエンドをMastodonにするのがGODだと投稿していました。lainさんはPleromaのフロントエンドはMastodonにまかせて、PleromaをMastodonと完全互換にするような考えはありますか?

photo NCLSさんが立てたpleroma.knzk.meは既にMastodonのフロントエンドからPleromaインスタンスにアクセス可能

lain Pleromaはフロントエンドもバックエンドもいい、とわたしは考えています。どちらもMastodonよりも軽量です。それでもMastodonのフロントエンドが本当に好きな人は多いので、喜んでPleromaでサポートしています。Mastodonのフロントエンドを大好きな人はPleromaとのコンビネーションを気に入ってくれると思います。

――PleromaとMastodonや他のFediverseソフトウェア、そして従来型の非連合SNSとの違いはどこにあると考えていますか?

lain Pleromaは、Erlangバーチャルマシンを使う比較的新しい関数型プログラミング言語、Elixirで開発しています。ErlangはWhatsAppなどの高性能で高可用性を必要とするネットワークソフトウェアで使われており、Fediverse用サーバとしては完璧です。

 とても高速なので、非常に貧弱なサーバでも動作可能で、やろうと思えばユーザー全てが自分のサーバで動かすこともできます。月額2.5ドルの仮想サーバで動かしている人もいます。

 MastodonはOStatus上に構築されていますがActivityPubも話します。Pleromaは最初からActivityPubサーバとして作られており、全ての内部データ構造はActivityPub互換となっています。外部ActivityPubサポートはすぐに作業開始する計画で、そうすればPleromaはMastodon 2.0サーバときっちりとつながり、DM(ダイレクトメッセージ)も通じるようになります。

――DMの暗号化は考えていますか?

lain 個人間メッセージで暗号化はサポートしないのでセキュアにやる方法はありません。Pleromaではマトリックスチャットをサポートすることでエンド・トゥ・エンドの暗号化チャットは追加しようと思っていますが、それは将来の話ですね。

――現在はストリーミングAPIがサポートされておらず、二要素認証などもMastodonにはあってPleromaにはまだない機能です。

lain これらは全てサポート予定です。次に取り組みたいのはストリーミングAPIとGNU socialからの移行です。そのすぐ後にPleroma 1.0をリリースし、ActivityPubに取り組みます。

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