マストドンつまみ食い日記
Mastodonに続く新たな連合型SNS「Pleroma」作者に聞く 開発の背景、特徴、ロードマップ
TwitterやFacebookなどの商用ソーシャルネットワークへの対抗軸として生まれたオープンソースソフトウェアのマストドン(Mastodon)だが、そのライバルと目される新興SNS「Pleroma」(プレロマ)は同じプロトコルを話し、互換性があり、軽量だ。
Pleromaも同じくオープンソースソフトとして公開されており、既に数十のコミュニティーが生まれている。その中には新しもの好きのMastodonユーザーが立てた日本のインスタンスが複数含まれる。
いきなり登場した謎のSNS、Pleroma。その開発意図を探るべく、開発者のlainさんにコンタクトを取り、メールインタビューを行った。
――Pleromaがここ数日で日本でも大きな反響を呼んでいます。ITmedia NEWSでも取り上げました。まずは、lainさんのバックグラウンドを教えていただけますか? ドイツ在住とうかがってますが。
lain わたしはベルリンに住んでいて、Rubyのプログラマーとして、主にソフトウェアテスター向けソーシャルネットワークの開発に携わっています。大学ではコンピュータサイエンスと日本語を学び、京都に半年住んでいたことがあります。プログラミングはだいたいRubyとJavaScriptですが、高速なバーチャルマシンと関数型プログラミングができるExlixirに個人的な興味を持ちました。
――Pleromaはどういう経緯で、いつ頃から始めたのですか? GNU socialやMastodonとの関係は? Mastodonブームの影響はありましたか?
lain GNU socialサーバを立てたのが2015年で、2016年にはかなり使っていました。Mastodonブームが起きる前のことです。GNU socialはちょっと古くて遅いソフトウェアで、コードは読むのも修正するのも難しいものでした。わたしの前職ではSNSを仕事にしていたので、ActivityPubをサポートしたGNU social互換サーバを自分で新しく書いてみようと思ったのです。
1年ほど前、最初に取り組んだのはフロントエンドの「Pleroma FE」で、FEとはFront Endの略です。GNU socialのために作ったので、まずはそれで動かしました。このフロントエンドが使える段階になると、バックエンドをElixirで開発し始めました。1年半ほど前のことです。
目標としたのは、高速でリソースをあまり消費しない、高品質のコードで書かれたサーバです。GNU socialからPleromaへの移行ができるようにして、GNU socialのインスタンスをActivityPubにスイッチさせたかったのです。
――日本でいち早くPleromaインスタンスを立てたNCLSさんはPleromaのフロントエンドをMastodonにするのがGODだと投稿していました。lainさんはPleromaのフロントエンドはMastodonにまかせて、PleromaをMastodonと完全互換にするような考えはありますか?
lain Pleromaはフロントエンドもバックエンドもいい、とわたしは考えています。どちらもMastodonよりも軽量です。それでもMastodonのフロントエンドが本当に好きな人は多いので、喜んでPleromaでサポートしています。Mastodonのフロントエンドを大好きな人はPleromaとのコンビネーションを気に入ってくれると思います。
――PleromaとMastodonや他のFediverseソフトウェア、そして従来型の非連合SNSとの違いはどこにあると考えていますか?
lain Pleromaは、Erlangバーチャルマシンを使う比較的新しい関数型プログラミング言語、Elixirで開発しています。ErlangはWhatsAppなどの高性能で高可用性を必要とするネットワークソフトウェアで使われており、Fediverse用サーバとしては完璧です。
とても高速なので、非常に貧弱なサーバでも動作可能で、やろうと思えばユーザー全てが自分のサーバで動かすこともできます。月額2.5ドルの仮想サーバで動かしている人もいます。
MastodonはOStatus上に構築されていますがActivityPubも話します。Pleromaは最初からActivityPubサーバとして作られており、全ての内部データ構造はActivityPub互換となっています。外部ActivityPubサポートはすぐに作業開始する計画で、そうすればPleromaはMastodon 2.0サーバときっちりとつながり、DM(ダイレクトメッセージ)も通じるようになります。
――DMの暗号化は考えていますか?
lain 個人間メッセージで暗号化はサポートしないのでセキュアにやる方法はありません。Pleromaではマトリックスチャットをサポートすることでエンド・トゥ・エンドの暗号化チャットは追加しようと思っていますが、それは将来の話ですね。
――現在はストリーミングAPIがサポートされておらず、二要素認証などもMastodonにはあってPleromaにはまだない機能です。
lain これらは全てサポート予定です。次に取り組みたいのはストリーミングAPIとGNU socialからの移行です。そのすぐ後にPleroma 1.0をリリースし、ActivityPubに取り組みます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
マストドンつまみ食い日記
マストドン(Mastodon)をはじめとする、脱中央集権をうたうサービス、アプリ、Web 3.0の動きをつまみ食いする連載です。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
FANZA、成人向けAI創作・公開サービス「FANZAスタジオ」発表 先行体験は8月24日から
-
2
「comico」サ終にマンガ家が思う“縦読みマンガ”の弱点と戦略ミス
-
3
Tesla歴5年の筆者がみなさんの疑問に答えます
-
4
目指すは、日本発IPで海外売上20兆円 経産省が新戦略を発表 「ものがたり大国5カ年計画」
-
5
LINE、着せかえ表示問題を謝罪 希望者に返金へ
-
6
スマート給餌器で38時間の障害、ペットがご飯食べられず 飼い主の苦情殺到 「旅行中なのに」「猫が死んじゃう」
-
7
SNSのウソ画像、どう見破る? 熊本県庁やテレビ局も頼る“すごい企業”の正体
-
8
法務省、「ラヴ上等」とのタイアップ中止 「当初の意図を全うすることが難しい」
-
9
TikTok、児童プライバシー訴訟で4億ドル支払いへ 米司法省と和解
-
10
Googleのオープンモデル「Gemma」、累計10億ダウンロード超 GitHubに公式ディレクトリ公開
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR