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» 2018年06月04日 18時01分 公開

otsuneの「燃える前に水をかぶれ」:不用意な「フェアプレー精神」には気をつけろ (1/2)

「フェアプレー精神」や「弱者救済」が質から量へと変貌を遂げている。

[おおつねまさふみ,ITmedia]

ネットウォッチャーotsuneとして長年活躍し、炎上対策会社MiTERUを立ち上げたおおつねまさふみ氏による、「ネット炎上しない、炎上しても延焼は防ぐ」ための連載コラム。

 どうやら人間は、不公平を許せない生き物らしい。たとえ自分が損をしてでも、ずるい人を罰したいという心理、いわゆる「フェアプレー精神」が本能的に働いてしまうようなのだ。

 日経サイエンス2002年4月号に掲載されていた論文に、興味深い実験が紹介されていた。2人1組の被験者の間で100ドルを分け合ってもらう実験で、分け方は自由。一方が分け方を提案し、もう一方がその提案にイエスかノーかを答える。回答がイエスなら取引が成立して、それぞれが提案どおりの金額を受け取れる。しかしノーなら100ドルは没収されて、両者とも何も受け取れないというルールだ。

 大半の被験者は50:50の分け方を提案して合意を得るのだが、なかには相手の取り分が20%以内になるような提案をする者も現れる。さて、このとき提案を受けた側はどのように答えるか。

 いうまでもなく、どんな分け方であろうとイエスと答えるのが最適解だ。そうでなければ、自分の利益が全く得られない。ところが、自分の取り分が少なくなる提案にも拘わらず「ノー」と答える者が必ず現れたというのだ。

 自分の利益を放棄してまでも、不公平に対してノーを突きつける。それが、進化の末に人類が獲得した「本能」ではないかと、この実験結果は示唆している。

 この「フェアプレー精神」と非常に近いものに「メサイアコンプレックス」がある。これは、自らをメサイア(救世主)になぞらえ、弱者を救済することに達成感を得ようとする心理状態を指す。

 他人を助けることで、救済する自分に価値があると感じようとするわけで、場合によっては、あえて弱者を探し出してまで救おうとすることもある。かといって根本的に弱者が救済されてしまうことを望んでいるわけでもない。おそらくこちらも大なり小なりほとんどの人間が持っている「本能」に近いものだろう。

 そして、これらの心理は、間違いなくネット炎上に繋がっている。

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