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コラム
» 2018年07月04日 13時25分 公開

otsuneの「燃える前に水をかぶれ」:謝罪マスターと炎上専門家が考える、ネットの便利さと危険性 竹中功×おおつねまさふみ対談第2回 (2/2)

[おおつねまさふみ,ITmedia]
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痛い目に会わないとピンとこない

おおつね 嘘か本当かぐらい見分けられるはずだって思い込んで育ってきた大人ほど、ここ10年20年で出てきたネットとの相性が見極められないんですね。大人もネットでは子供なんですよ、まだ。

竹中 そうですよね、この数年で出会ってびっくりしたわけでしょ。家にWi-Fiが来て「よく繋がるようになったわ」言うてYouTubeに嵌まるわけですよ、僕らみたいに60近い人たちが今になって。

おおつね その手のサイトーー扇動したり、嘘やデマを広めようとしてるサイトって、物事の伝え方がものすごくわかりやすくて面白いんですよ。

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竹中 腕あるなそいつら(笑)。そのスキルをええことに使ったらええのに。そういう洗脳も含めてね、いろんなものが押し寄せてくるじゃないですか、この世界は。詐欺メールとか。それを誰に教えてもろたらええんですかね。

おおつね いろんな人に見せて「それ有名なやつだよ」とか「ネットで流行ってて注意喚起されてるやつだよ」っていうのがいいでしょうね。古典的なやつだと出回ってたりしますから。

竹中 でも大体そういうので失敗する人って人に聞くのが恥ずかしいとか、もっと言うと、失敗したあとも恥ずかしいから家族にも言わないとかね。関西人みたいに恥ずかしがらんと何でもわからんことは人に聞くのがええかもね?

おおつね 以前は、例えば浄水器だとパンフレットを見て印刷がキレイだとか、そういう手間やコストのかけかたで悪い業者かどうかっていう判断をしてきましたよね。でも、インターネットって体裁の良いサイトとか良い写真ってすごく簡単にコピーできる。詐欺業者はサイトをまるごとコピーして、文面と振込み先だけ変えておくということを平気でやるんですよ。

竹中 「立派なもんやな、会社もしっかりしてるわ」「こんなタレントさんも応援してるので安心や」ってなってしまうんですね。痛い目に会わないとピンとこないんやろか。

おおつね そんな世界だから企業とか公的組織とかのなかには、インターネット怖いから触れないでおこうっていうところが出てきたりする。広報的に使えるかもしれないけど、炎上するかもしれないから距離を置こうと。

竹中 芸能事務所とかスポーツチームとかでも「全員SNS禁止」というところもいっぱいありますね。吉本興業はエライもので「個人の責任やからどうぞどうぞ」ですけど。

おおつね たとえ揉めても「あなたがやりなさい」っていう話ですね。

竹中 もちろん、いざという場合は会社が助けに行かなあかんのやけど、せっかく個人で発信できるものを手に入れてんから個人の判断で上手に使えばいい。渡辺直美ちゃんなんかが良い例じゃないですか。

おおつね Instagramで日本人では一番フォロワーがいるぐらいになりましたからね。

竹中 ファンがこんな風に応援してくれてるとか、こんなことを期待してくれてるっていうのも直で分かる。「自分の責任で」っていうと、嵌まる子は自分で学習するし、みんな上手く使ってると思いますよ。キングコングの西野(克廣)君もそうですよね。お金集めて絵を描いたり、絵をいろんな人に届けたり。ええとこもあると思いますよ。まあ、彼は結構ネット炎上しますけど。

おおつね それに関連しますけど、ネット炎上防止のマニュアルって作れないものかって話があって。僕は、ある程度まで作れると思うんですけど、究極的にはマニュアル化することが難しいと思っているんですね。なぜかと言うと発信者の立場や属性によって、受け取られ方って全部変わるから。

竹中 ああ、なるほど。

おおつね 例えば男女の働き方について、政治家や市長のような立場の人が語るのと、女性漫画家や一般OLさんが発言したりするのとでは、受け取られ方って全然違いますよね。だから「男女の働き方についての発言は、炎上するのでやめましょう」ってマニュアルに書いても嘘になっちゃうわけです。

竹中 人によってパターンも変わるから、確かにマニュアル化は難しいでしょうね。しかしクレーム対応などに関して、いろんなパターンをビッグデータとして取り扱えないものですかね?

おおつね 西野さんがTwitter上でリプライの応酬をしまくっても「キンコン西野ってああいう人だしな」と思う人もいるし「そんな人だと思わなかった」と噛み付く人もいる。これってマニュアル化できないですよ。結局、その人がどういう立ち位置の人で、どういう仕事をしていて、どういう風なことを期待されているのかを客観的に見極めることが大切で。それによって言葉遣いだとかスタンスとか、ちょっときな臭いような政治的な話まで踏み込むかどうかっていう判断が全部分かれてくるんですよね。

竹中 発信する人の属性もそうやし、受け取る側の属性によっても左右されるでしょうね。

おおつね ディズニー公式が炎上した件でも、長崎に原爆投下の日に「何でもない日おめでとう」って、とくに外資系が言っちゃダメだろっていうのはあるけど、あれが1日前後してたらまあ許されるわけで。その日に言ったがためにアウトだった。

竹中 そういう文化的な背景とかに気遣いできへんのやったら発信したらあかんと僕は思いますよ。自分の発言がどんな人に影響を与えるか。嫌がる人、苦しむ人、悲しむ人が出ないかどうかを、ちゃんと見極めておかないとあきません。

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おおつね そうですよね。

竹中 たしか、子供が万引きしてるところを動画に上げて怒られたみたいなことがありましたね。人が面白いと思うことやりたいというのは純粋でいいと思うんですけど、だからって「何やってんねん!」っていうところですよね。

おおつね 目立ちたかったっていうのが暴走して変な方向に出ちゃった。

竹中 インターネットって、みんなをものすごく助けてくれるツールで、でも一歩使い方間違えると大変なものになる。包丁と一緒ですよ。包丁は、おいしいごはんを作れる道具でもあるけど、渋谷の駅で振り回したら人が死ぬわけじゃないですか。そんな当たり前のことを、ネットの持ってる強さとか怖さとか、個人が発信するときの範囲や責任みたいなことを、僕はもっと教育の場に落とし込んだらいいと思いますよ。小学校の授業とかでね。

竹中功著「よい謝罪」は謝罪会見の段取り、謝罪シナリオ、日頃からの準備、コンプライアンス研修など、広報・PR関係者必携の内容と評価が高い。


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