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» 2018年09月27日 11時54分 公開

otsuneの「燃える前に水をかぶれ」:「無敵の人」問題 ネットからリアルへ波及した事件について、謝罪と炎上の専門家が議論 (1/2)

謝罪マスターと炎上専門家による対談の最終回。Hagexさん殺害問題についても触れます。

[おおつねまさふみ,ITmedia]

 炎上対策会社MiTERUを立ち上げたネットウォッチャーのおおつねまさふみ氏と、吉本興業に35年間在籍し、数々の謝罪会見を取り仕切ってきた経験から「謝罪マスター」の肩書きを持つ竹中功氏。ネットとリアルの2つの世界をよく知る2人がネットとリアルの多岐にわたるテーマについて語った対談を4回に分けてお届けする最終回。

無敵の人

竹中功 ネットをめぐっては、先日、痛ましい事件も起きましたね。

おおつねまさふみ Hagexさんが殺害された事件ですね。

竹中 あれからネット業界は何か変わりました?

おおつね 2週間ぐらいは事件の話で持ち切りでしたが、みんなだんだんと元通りになりつつあるという印象ですね。

竹中 テレビを見てると、あの事件を指して「ネットの闇」やという論調が多かったようですけど、どうなんですかね。

おおつね ネット上のトラブルから発生したという点では、例えばアメリカではYouTube本社で襲撃事件が起こったというケースがありましたけど、日本ではせいぜい嫌がらせとかストーカー事件ぐらいしか起こってなかった。そういう意味ではネット史に残る事件であるのは確かですね。

竹中 ただ、ぼくは今回の事件、それほど驚かへんかったんですよ。誤解を恐れずにいうと、殺人ってネットだろうとリアルだろうと普通に起こり得ることやから。

おおつね 確かにそうですね。社会性に欠ける人はどこにでもいる。

竹中 例えば電車に乗ってても、まわりにおるのはどこの誰ともわからんわけでしょ。そういうところで生きてる限り、ぼくは突然何が起こるかは予想がつかないと思ってるんですよ。一般論ですけど、多くの人が被害者になり得るし加害者になる可能性があるんとちゃうかと。

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おおつね 今回の事件でマスコミからいろいろ取材を受けたんですけど、いちばん訊かれたのが、いわゆる「無敵の人」=失うものが何もない人にはどう対処したらいいのかという質問だったんですよ。でも、これって「いじめをなくすにはどうすればいいか」という話と一緒で。

竹中 ズルいんですよ、マスコミは(笑)。ある特定の層のせいやから、こういうことに気をつけようって言いたいんですね。

おおつね 現象面だけでいえば、セミナー参加者以外には場所を教えないとか、出演者がトイレを使用する時は一般のお客さんの立ち入りを禁止するとか。そういうことはいくらでもできるけど、そう簡単なことじゃない。

竹中 そらそうですよ。新幹線でも事件が起こりましたけど、じゃあ乗車前に持ち物チェックするかっていうたら、現実問題としてできへんですよ。

おおつね 「低能先生のような人であっても真剣に丁寧に対応していくべきだ」ということを書いていた人もいますけど、それもまた難しい話で。

竹中 ネットはネットだけで完結しているから安心やと思える世界があったわけですけど、こうやってリアルな世界にも事件として現れるようになったということですよね。なんかこう、ネットだけで相手をコテンパンにする方法があればええんかな(笑)。

おおつね YouTuberヒカルさんへの嫌がらせあたりが代表的でしょうか。代引きでいろんな商品を送りつけたり。もちろんこれは犯罪行為で、単なる嫌がらせというわけではないですが。

竹中 ああ、ありましたなあ。注文してへんピザが届くぐらいやったら笑える話なんやけど。あれは、ちょっとやりすぎでしたね。

おおつね 送りつけるといえば、こんなこともありましたね。先日、西日本で大雨の災害がありましたけど、そういう時にネットで必ず揉めるのが千羽鶴。応援したいっていう気持ちをカタチにして送りたいという気持ちはわかるけど、被災地のほうでは「送るのはやめてください」と。必要な物資がたくさんある時に、混乱する物流を何とか乗り越えて届いたダンボールを開けたら、大量の折り鶴だったら、さすがにがっくりしてしまいますよね。100%悪気がないというのはわかるけど。

竹中 そらぁ、被災地にしたらしんどい話ですわ。戦時中の千人針と同じ感覚なんでしょうけど。思いや祈念をカタチにするというのは、いまの時代、もはや通用せんのかも知れませんよ。何かないんですかね、代わりになる役立つものとか。

おおつね 被災地としては、千羽鶴を送ってもらうより義援金をって思うんでしょうけど。ただ、義援金を送るっていう行為には達成感がない。その点で千羽鶴だと「やった感」があると。だから、送る側としてはやっぱり千羽鶴をっていうことになる。

竹中 気持ちはわかるんやけどなあ。それこそネットでできることってないんですかね。

おおつね 例えば安否確認のWebサービスとか、避難所ごとにほしいものリストを作って公開するとか。いろんな方法が生み出されているんですけどね。ただ、千羽鶴とかって人の気持ちの問題なので、別の方法で解決しないとだめでしょうね。

竹中 違うカタチで満足感が得られるようなものがあるとええですね。デジタルの力で何か新しいサービスが作れるんじゃないですかね。千羽鶴を折った分だけ義援金が送れるとか。鶴は折らへんけど「千羽鶴プロジェクト」とかって名前つけて。

おおつね いいですね、それ。

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