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近未来、豪雨はより強くなり連続無降水日は増える 「地球シミュレータ」予測

» 2019年01月10日 13時03分 公開
[ITmedia]

 JAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、気象庁気象研究所、北海道大学の研究チームは1月10日、JAMSTECのスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」を用いた気候シミュレーション結果を発表した。これによると、2030〜50年ごろに豪雨はより強くなり、雨の降らない期間は延びる可能性が高いという。

 地球温暖化に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書では、2030〜50年ごろに世界の平均地上気温は工業化前に比べて2度弱上昇すると予測。「パリ協定」に基づき世界各国が温室効果ガスの排出削減努力を行った場合は21世紀末までその状態が維持されるが、追加的な緩和努力を行わないと気温は4度程度まで上昇すると予測した。また温暖化の進行とともに降水量の増加や降水現象がより極端になることも報告されている。

 研究グループは、多数の高解像度地球温暖化シミュレーション実験を実施。平均地上気温が2度上昇した場合の「極端な降水」に関する将来変化を求め、4度上昇した場合との比較も行った。

 その結果、日本を含む中高緯度域は1日の平均雨量(年平均)、極端な降水(1日の最大降水量)が統計的に有意に増加する可能性があると分かった。一方で連続無降水日が増加していることから、降水活動は両極化すると見込まれるという。日本でもほぼ全域で1日の最大降水量が増加する可能性があることが明らかになった。4度上昇した場合、この傾向はさらに増大すると予測している。

左は1951〜2010年の年最大日降水量の変化率、中央は平均地上気温が2度上昇した場合、右は4度上昇した想定で計算した21世紀末の変化率

 研究成果は1月10日付の科学誌「Geophysical Research Letters」に掲載される。

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