携帯端末向けマルチメディア放送の受託事業者 ドコモ陣営のmmbiに軍配
総務省から諮問を受けた電波監理審議会が9月8日、携帯端末向けマルチメディア放送の受託放送事業者はマルチメディア放送(mmbi)が適当とする答申をまとめた。
総務省の諮問機関、電波監理審議会は9月8日、「携帯端末向けマルチメディア放送」の受託放送事業者を、NTTドコモ陣営のマルチメディア放送(mmbi)とするべきと答申した。
携帯端末向けマルチメディア放送は、2011年に停波するアナログTVのVHF帯(207.5MHz〜222MHzの14.5MHz)を用いて提供予定の新サービス。映像をストリーミング配信する放送サービスだけでなく、放送波を用いたデータ配信サービスなども提供が予定されており、既存の放送と通信の利点を組み合わせて補完するようなサービス像が描かれている。
総務省が定めた開設指針では、この携帯端末向けマルチメディア放送に利用する電波を1事業者に割り当てるとしていたが、NTTドコモを筆頭にフジテレビジョン、ニッポン放送、伊藤忠商事、スカパーJSAT、日本テレビ放送網、テレビ朝日、東京放送ホールディングス、電通、住友商事らが株主に名を連ねるマルチメディア放送(mmbi)がISDB-Tmm方式で、KDDIと米Qualcommの日本法人、クアルコムジャパンのジョイントベンチャー、メディアフロージャパン企画がMediaFLO方式で、免許取得へ名乗りを上げた。
1社への割り当てに対して2社が特定基地局開設計画の認定申請を行ったことで、総務省は免許の割り当てに際し比較審査を行うことになり、2回の公開説明会と1回の非公開説明会を開催。そして8月17日、総務省は電波監理審議会に対し、特定の事業者を選定せずに免許の割り当て先を諮問した。その後電波監理審議会による非公開の説明会と公開説明会が各1回ずつ開催され、9月8日にmmbiに割り当てるべきとの結論を出した。
mmbiに軍配が上がった理由は、財務基盤の強固さや基地局の整備能力、エンドユーザー向けの料金水準などで優位、もしくはやや優位と電波監理審議会が判断したため。これにより、2012年4月にサービス開始が予定されている携帯端末向けマルチメディア放送は、NTTドコモ陣営のmmbiに免許が割り当てられることがほぼ確実となった。最終判断は、原口一博総務大臣が下す。
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