Qualcommが開発したMediaFLO視聴環境「PocketFLO」:iPad向けのアプリも用意
携帯端末向けマルチメディア放送の認定申請の締め切りが6月7日に迫っている。この締め切りを直前に控えた6月3日、KDDIが主催した記者説明会で、クアルコムジャパンの山田純会長兼社長がiPadでMediaFLOを視聴できる「PocketFLO」を披露した。
KDDIが6月3日に開催した、「MediaFLO」による携帯端末向けマルチメディア放送の実現へ向けた取り組みを紹介する記者会見で、クアルコムジャパンの山田純会長兼社長が登壇し、Appleの「iPad」でMediaFLOが視聴できる小型の受信機を披露した。
山田氏はiPadのようなタブレット型デバイスを「MediaFLOと非常に相性がいい」と絶賛。「大画面かつポータブルなタブレット型デバイスは、携帯端末向けマルチメディア放送を楽しむのに最適な機器だ」と話し、こうした機器でMediaFLOを楽しむ方法として、無線LAN(Wi-Fi)経由でMediaFLOコンテンツが楽しめる「PocketFLO」の試作機のデモを行った。
PocketFLOは、バッテリーとメモリを内蔵した小型のMediaFLO受信用端末だ。ストリーミングの映像コンテンツはそのままiPadに転送して再生。蓄積型の映像コンテンツやデータコンテンツはPocketFLO側で保存しておき、必要に応じてiPadやスマートフォンの対応アプリからWi-Fi経由でPocketFLOにアクセスして視聴する。ソフトバンクがiPhone向けに展開している「TV&バッテリー」と似たような機能を持つ周辺機器だ。もし日本市場でMediaFLOが導入されれば、こうした視聴環境も容易に実現できることを分かりやすく示した。
以下は会見終了後に撮影したPocketFLOのデモ。免許さえ取得できれば、すぐにでもサービスを開始できそうなクオリティだ。
ちなみに下の映像は山田氏が自らプレゼンテーションしたときの様子。慌てて撮影を始めたのでピントが合っておらず画面が見にくいが、山田氏の説明を聞いていただければと思う。
MediaFLOは、携帯電話をメインターゲットにしている放送技術だが、PocketFLOのような機器を用いることでPCやスマートフォン、そしてこれから多数登場するであろうタブレット型端末などにも容易に対応できる。またPCのUSBポートに接続する受信機や、単体で視聴可能なデバイスなどもすでに開発されており、ワンセグ以上に多様な環境での視聴が想定されている。こうした点は、すでに米国で有料および無料の商用サービスが展開されており、対応チップが存在し、実装も容易なMediaFLOならではの強みと言える。
一方、MediaFLOのライバルと目される「ISDB-Tmm」方式を掲げるフジテレビジョン、伊藤忠商事、NTTドコモ、スカパーJSAT、ニッポン放送らが設立したマルチメディア放送陣営は、サービス像こそ提示したものの、いまだ具体的な製品や実証実験の成果などは発表していない。
PocketFLOと対応アプリがあれば、携帯電話にとどまらず、iPadのようなデバイスでも美しい映像や情報サービスが手軽に受けられる様子をアピールしたMediaFLO陣営。すぐにでも商用サービスを提供できるだけの技術とコンテンツの蓄積があることをアピールし、免許取得へ向けて万全の体制で臨む考えだ。
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