Brand New PC Style / Education:小林道夫さん(神奈川大学附属中・高等学校 教諭)03

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小林  これはビジネスでも同様のことが言えると思いますが、ミーティングを行うときなど、画面が回転することや直接ペンでマークをつけることができるので、プレゼンしやすいですね。マウスでカーソルを画面の反対側から操作するのは難しいのですが、ペンだと書きたい場所や置きたい所にもっていけるのがいいですね。

チバ  意見を交わしあう場面でタブレットPCは活躍しそうですね。では、タブレットPCの面白いまたはためになる使い方を思いつきましたか?

小林  ミーティングにも関連したことですが、プロジェクタなどの大きな機材を用意しなくとも、タブレットPCがあれば、3 〜4人の少人数を相手としたプレゼンにはとても効果的ですね。そういう意味では、学校や企業でのグループミーティングに最適だと思いますね。そうしたグループワークで使う場合、ペンの色や太さの種類を変えることによって、誰のコメントかわかりやすいのではないでしょうか? ペンを何種類かセットでつけてほしいですね。

小林先生は「タブレットPCはソフトなどの指導がしやすい」と語った

チバ  なるほど。ワコムが同様の技術を実現しているので、タブレットPCに使われる可能性はありそうですね。それらの点を踏まえて、教育現場においてタブレットPCは役立ちそうですか?

小林  役立つ可能性は大きいと思います。初心者へのキーボードアレルギーや複雑な操作がなく、ペンが直感的であることは非常に意味のあることですね。

チバ  小林先生は教育現場のコンピューティングは、今後どのようになっていく、もしくはなるべきとお考えですか?

小林  まず、コンピュータを単なる道具として活用するには、操作が難しく、ステップが何段階もあるのが現実ですよね。ほとんどの子どもたちはコンピュータやインターネットを使いこなしたいと考えているわけですが、操作が複雑なことから断念する子どもがいるのも事実なんです。コンピュータは単なる道具ではなくて、情報を編集する知的な道具として、自分のアイデアを素早く具現化できるすばらしいツールです。すべての子どもたちがコンピュータやインターネットを使える環境に整備すること、すなわちこれらの操作を簡単にすること、値段を安くすることが世界の教育界にとって急務なことだと思います。

障害者にも優しいタブレットPC

チバ  他にタブレットPCについて見つけた面白いことはありますか?

小林  面白い、ということではありませんが、タブレットPCの可能性の幅広さを発見しました。それは障害者(肢体不自由)の人たちへのコンピュータ活用の可能性が思った以上に大きかったということです。

チバ  なるほど。確かにタブレットPCならこれまでのコンピュータの使い方にとらわれずに使うことができますからね。

小林  知人の障害者の方にタブレットPCをさわっていただいたのですが、その方は普段はキー操作が難しいためマウスを使っているのですが、タブレットPCだとパネルで操作できるのが実に良いよいようです。鉛筆で書くときにはある程度の筆圧が必要なんですが、タブレットだとその必要が少ないですね。ただし、これはだれにも言えることですが、パネルが滑り過ぎてしまうと書きにくいので、多少とっかかりがあった方がよいですね。それと大事な点ですが、タブレットPCで無線LANだと車椅子でも使えるところが大きいですね。

チバ  タブレットPCのさらなる可能性が期待されますね。すばらしいご報告ありがとうございます。

 では、最後にお聞きします。結果として小林先生はタブレットPCを今後も使いたいですか?

小林  はい。使いたいです。コンピュータやインターネットはさまざまな状況において使えるものであってほしいと思います。そのためには、デスクトップやノート型はもちろん、タブレットPCを準備することによって、ボーダレスなユーザーに向けたコンピュータの活用が実現できるのではないかと思います。

チバ  なにかタブレットPCに対してご要望があったらお願いします。

小林  筆跡認証はとても便利なんですが、ソフトを別途購入しなければならないんですね。ですので、ぜひこれをバンドルしてほしいですね。

チバ  今後もぜひタブレットPCを使い続けてみてください。いずれまた取材をお願いしてみたいと思いますので。今回はありがとうございました。

今後もタブレットPCを使いたい、と語る小林先生

 小林先生が講師として出演する番組『 NHK高校講座・情報A 』がNHK教育で毎週金曜日の午後3時〜3時30分(再放送:月曜日深夜1時)に放送中です。

[チバヒデトシ, ITmedia ]

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