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» 2012年07月17日 10時00分 UPDATE

創業から5年の会社がBEMSアグリゲータに選ばれた理由

中小ビルの消費電力量抑制を狙った「BEMSアグリゲータ」事業が動き出した。日本有数の大企業と並んでアグリゲータとして認定されたイーエムシーは、まだ会社としての歴史は短く、企業規模も大きいとはいえない。しかし、「中小ビルの節電についてはかなりの実績を残しており、膨大なノウハウを持っている」と自信を見せる。BEMSアグリゲータとして、同社だからこそ提供できるサービスについて聞いた。

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 経済産業省は「エネルギー管理システム導入促進事業費補助金」を用意し、中小ビルにエネルギー管理システム(BEMS)の導入を促進する事業を始めている。狙いはエネルギー管理ができていない中小ビルにBEMSを導入することで、電力消費量を抑えるところにある。

 さらに、BEMSの導入とその後の管理を受け持つ「BEMSアグリゲータ」を採択し、アグリゲータ単位で消費電力量を10%抑えられる仕組みを作ることも大きな狙いのひとつだ。

 例えば、電力会社の供給量に対して需要が上回りそうになると、政府はBEMSアグリゲータ制度を運営する一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)を通して各アグリゲータに指示を出す。アグリゲータはBEMS導入時に自社が運営するデータセンターと通信できるようにしてあるので、データセンターからBEMSを遠隔操作することで電力消費を抑えることができる。

Portrait イーエムシー BEMS事業部 事業部長の秋田真人氏

 BEMSアグリゲータとしてこの事業に参加すべく応募した企業は59社。その中から採択されたのは21社。採択された企業の顔ぶれを見ると、大手IT企業や大手電機メーカーの系列会社などが顔をそろえている。

 その中に、2007年に設立の中堅企業「イーエムシー」も名前を連ねている。もともと同社は、省エネコンサルティングを手がけている。歴史の浅い中堅企業が並み居る大企業とともにBEMSアグリゲータに採択された理由はどのようなところにあるのだろうか?

 同社BEMS事業部 事業部長の秋田真人氏に話を聞いた。

「街の縮図」に学んだ中小ビルの省エネ

 同社の事業の土台となっているのは、創業から3年の間徹底的に取り組んだという農業協同組合(農協)、漁業協同組合、森林組合といった第一次産業とのビジネスだ。「当社のようなベンチャーが信頼を得るには、官公庁、公共団体などの堅いイメージがある顧客との取引実績を積むのが有効」(秋田氏。以下、引用部分は同氏)と判断したからだ。

 農協は金融機関からスーパーマーケット、ガソリンスタンド、自動車整備工場、葬儀場に至るまで、さまざまな業態の施設を抱えている。イーエムシーは、農協とのビジネスでは100の施設があれば100カ所すべての現場を訪ね、効果的な省エネアドバイスを提案するために徹底的に現場を調査した。

 「普通はやらないこと。当社も現在は全施設を事前調査することはない。しかし、創業間もないころはそれぞれの現場でどのように電力を使っているのか、データを蓄積することが必要だった。それには、地道にすべての施設を調査することが欠かせない。農協はさまざまな業態の施設を抱えており、『街の縮図』とも言える組織だ。農協のデータを集めることは将来必ず役に立つと考えた」。施設ごとに綿密に調査して、個々の施設に合わせた省エネアドバイスを提案する。大手企業ではなかなかできない、きめ細やかなフォローで受注を重ねていった。

 農協関連施設の契約電力は平均で130kW程度。同社は農協との仕事を通じて、中小ビルにおける省エネのノウハウを豊富に蓄積し、その蓄積から独自製品の開発を手掛けるようになった。

 例えば中小ビルにデマンドコントローラを導入して節電を図りたいとビルオーナーが考えたとしても、一般的なデマンドコントローラは大きなビルや工場に向けたものが多く、導入に百万円単位のコストがかかる。中小ビルに導入するには費用対効果が悪すぎる。

 そこで同社は蓄積したノウハウから本当に必要な機能を考えて、その機能だけを搭載した低価格製品の開発に乗り出した。「一般的なメーカーは、とにかく性能のよい製品をまず開発し、開発後にさあどこへ売ろうかと考える。当社はターゲットを絞り、実際の施設に合う商材を開発している。マーケティングから入っているところが他社と異なる点であり強みでもある」。

 また、省エネに役立つ商材を扱う商社としての機能も持つようになった。商品を提案するときは自社製品にこだわらず、よい物があれば他社製品でも積極的に薦める。顧客の要望や現場の状況に沿う製品はどれかと考え、最適な製品を提案することで、顧客の信頼を勝ち取ってきた。

 品物を販売するなら、当然自社製品を販売した方が大きい利益を得られる。しかし秋田氏は「一件当たりの利益率を追っていては信頼を勝ち取れない。特に農協のような組織は緊密なネットワークを持っている。ひとたび信頼を損ねてしまうと、その情報はあっという間に農協の組織内を駆け巡る。目の前の利益に飛びついてはいけないのだ」と言う。こうして、同社はコンサルティング企業、メーカー、商社という三本の柱で環境事業に取り組む体制を整えた。

結婚式場で21%の電力カットを可能にした“簡単な”マニュアル

 イーエムシーは、農協とのビジネスで実績を積み、民間企業へビジネスを広げてきた。例えばJAバンクでの経験を生かして銀行や信用金庫へ、自動車整備工場に関する経験を生かして自動車メーカーへ、コンサルティング営業を展開し、数々の受注を獲得している。

 同社がコンサルティングにおいて大切にしていることは、「個別最適ではなく、全体最適を考えること」。空調設備を更新する、LED照明を導入するといった、機器を導入するだけの提案ではなく、省エネという大目的を達成するために、方法や導入範囲に枠を作らず、施設全体で考えたときに最適といえる方法を提案する。

 例えば、10階建てビルの空調設備更新について相談を受けたとき、単純に最新の空調機器に入れ替えましょうという提案は出さなかったという。現場を調査してみると南向き、西向きの窓ガラスの面積が大きく、かなりの熱量が入ってくることが分かった。ガラスの角には凹凸があり、フィルムは使えない。そこで、遮熱塗料を塗って、外から入ってくる熱量を抑えた。

 「空調機10台、容量にして50kW分を持つビルで既存の10台をそのまま置き換えることを提案することはコンサルティングとはいえない。本当に必要な台数、本当に必要な容量を見直す。40kWで十分な例や、9台でまかなえる例は少なくない」。

 同社は全体最適を達成する手段として、設備改善だけでなく運用改善にも力を入れている。例えば昨夏、全国20カ所に結婚式場を持つ企業から、最大電力量(デマンド)が設定値に達したときに自動で空調機などを停止させるためにデマンドコントローラを導入したいとの相談があった。

 しかし、式場の敷地は広大で、コントローラと各空調機をつなぐ工事だけでも多額の費用がかかることが分かった。そこでイーエムシーは、デマンドコントローラではなくデマンド監視装置を導入し、空調機などの操作はスタッフが手動で対応する形を提案した。監視装置+運用改善という提案だ。結果は最大電力量(デマンド)21%減。目標の15%を上回る成果が得られた。

 この例では、運用改善提案に三つの工夫を入れた。一つ目は、目標以上の削減効果が得られたときは社員に還元するよう勧めたこと。

 二つ目は警報の出し方。この結婚式場の例では、最大電力量(デマンド)が設定値に近づいたときの警報を4段階で発するようにした。設定値に近づきつつあるが、まだ余裕があることを示すレベル1に達したときは、パトランプを点灯させるほか、現場の従業員にメールを送信する。

 設定値に対する余裕がなくなってきたことを示すレベル2に達したら、責任者クラスにメールを送信する。レベル2に比べてさらに余裕がなくなってきたことを示すレベル3に達したら、当該施設の支配人にメールを送信。設定値にごく近くなってきたら(レベル4)本社の役員にメールを送信するというように、電力消費量が上がっていくと、警告のメールを送信する先を上役に変えていくようにしたのだ。

 また、施設の支配人がほかの施設の電力使用状況もパソコンで確認できるようにした。「競争意識が高まるし、本社に知られないうちに対処しなくてはという危機意識も生まれる」。このような工夫を凝らすことで、管理職の節電に対するモチベーションが高まっていくのだ。

 三つ目の仕掛けは、マニュアルを極力簡単にしたことだ。レベル1なら近くの空調機の設定温度を1℃上げること、レベル2ならバックヤードなど不要な部分の空調機や照明の電源を切ること。このように、それぞれのレベルに対応するための行動を単純にし、マニュアルに記述する項目は極力少なくした。これは、「50項目にも渡るチェックリストを作って現場に渡したところで、誰もチェックなんてしない。本気でやろうとすれば本業に支障をきたすだけだ。顧客が『たったこれだけ? 仕事をさぼっているんじゃないの?』と言うくらい簡素なものがいい。簡単だからこそ、確実に実行してくれるのだ」という考えに基づいている。

Manual 簡素なマニュアルほど大きな効果を発揮する

BEMSが生む省エネ+αの効果

 BEMSアグリゲータとして同社は「EGW+plus」というシステムを提供している。同社が創業以来蓄積してきたノウハウを生かして開発したシステムだ。同社の顧客からの反応は大きく、デマンド監視装置などを導入した企業からの問い合わせが相次いでいるという。節電対策として実際に効果が上がったことに刺激を受け、より詳細に電力使用状況を把握し、機器を細かく制御することでいっそうの省エネにつなげたいという欲求が顧客側で高まっているようだ。イーエムシーは、アグリゲータとして1412件のビルに「EGW+plus」を設置することを目標としている。

 「当社がBEMSアグリゲータに採択されたのは、中小ビルに対する省エネコンサルティングの実績や、ほかの20社にはない農水分野での実績を評価していただいてのことと思う。300億円もの血税を使った事業の一翼を担うことになるので、気を引き締めて取り組んでいきたい」。

導入するなら今だ

 同社は最近、営業先で「機会損失」を話題にしている。「『来年の予算で導入する』『来年になればLED照明は今より安くなるのでは』という顧客に、導入までの機会損失を考えれば、それは決して得にならないと伝える」。

 企業イメージ向上の観点からも、今夏を逃すのは得策ではないという。先述の結婚式場では昨夏たびたび式場の温度が上がり、来場者から「暑い」との声も聞かれたが、クレームらしいクレームはなかった。イーエムシーが製作した「節電に協力中」のポスターなどが効果を発揮したとみられる。

 「社会全体で省エネに努めようというムードが広がっている。特に夏場の電力不足が深刻になるとみられる今夏、企業がBEMSを導入したことを知らせるプレスリリースを出せば大きな反響があるはず」。この2カ月がBEMS導入を検討する企業にとって、決断のタイミングになりそうだ。

関西電力との協業もスタート

 イーエムシーは経済産業省からBEMSアグリゲータとして採択されただけでなく、関西電力ともBEMSアグリゲータとして協業を始める。関西電力管内は今夏、電力供給量不足に陥る可能性が高いと言われており、節電目標の値も10%以上という高いものになっている。

 そこで関西電力は、独自にBEMSアグリゲータの募集を始めた。電力需給が逼迫する可能性が高いと見られる日の前日に、関西電力がBEMSアグリゲータを通して、アグリゲータが管理しているビルやオフィスなどの施設に電力使用を抑制するよう依頼するというものだ。施設側では、依頼を受けて電力使用を抑制する。

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提供:イーエムシー株式会社
アイティメディア営業企画/制作:スマートジャパン 編集部/掲載内容有効期限:2012年8月16日