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Survey:コラム 2003/10/29 15:00:00 更新

通信と放送の“非”融合〜何が両者の間を隔てているのか?〜
番外編:読者の皆様からの反響並びに質問にお答えして

連載開始と同時に読者の皆様より、通信と放送に関するさまざまなご質問・ご意見をいただきました。今回はそのご質問にお答えしたいと思います。

 サーベイチャンネル開始日(10月15日)より開始しました本連載ですが、読者の皆様より多大なる反響を頂いております。この場をお借りしてお礼申し上げます。

 さて、反響と共に読者の皆様からもさまざまなご質問・ご意見などが寄せられております。連載の中でできる限り皆様のご要望を反映していきたいと考えておりますが、皆様から頂いたご質問・ご意見は非常に鋭く本質的なものばかりであり、また連載の中ですべてにお答えすることが難しいと判断し、新たにページを設けさせていただきました。

 この場を利用して、読者の方々のご質問・ご意見をまとめて紹介ながら、それに答えていきたいと考えております。

 コーヒーブレイク的な位置付けで気軽に進めていきたいと思いますので、読者の皆様も気軽にご意見等お寄せ下さい。

 なお、頂いたご質問・ご意見は、一部省略、編集して紹介させていただいている箇所もあります。その点はご了承下さい。

 では、まずご質問から。

Q:携帯電話でのデジタル放送について、特許料支払いの問題が紹介されていましたが、すでに携帯でテレビが見られる韓国では、特許料支払いの問題はないのでしょうか?

A: はい、問題は生じません。

たしかに韓国ではいち早くSamsung社からテレビ付き携帯電話が発売されております(関連記事)。ただし、これはアナログ放送をそのまま受信する方式で、デジタル圧縮技術は使用しておりません。したがって、この場合は特許料支払いの必要性は生じてきません。

 本連載の第2回目の冒頭にボーダーフォン社のテレビ付き携帯電話を少し紹介しましたが、これも基本的には韓国のものと同様にアナログ放送を受信する方式を採用しており、特許料の問題は生じません。

 余談ながら、日本の地上デジタル放送の方式は、欧米の方式に比べて、移動体、特に自動車に強いというようなことが言われています。その点で、移動体向けテレビ放送は、日本が世界をリードできる分野かもしれません。特許料問題は、日本がこの分野で主導権を確立するためにまずクリアーしなければならないハードルとなるのではないでしょうか?

Q:携帯電話でテレビ放送が受信できるということはNHKも受信できるということですよね。ということは放送法第32条(公共放送の受信契約及び受信料に関する条項)の適用を受けることになりますが、携帯電話でのテレビ視聴に対してユーザーはNHKの受信料を払わなければならないのでしょうか?

A:「街でケータイでテレビを見ていたら、NHKの調査員に声を掛けられて受信料を徴収され、ケータイにNHKのシールを貼られるんじゃないか」とか「通話料の請求書に『NHK受信料』の項目が……」といった、冗談交じりの推測も出たりしているようです。しかしながら、当面は携帯電話向けに個別に受信料を請求されることはないと思われます。

 NHKの受信料は世帯単位での徴収が基本になります。たとえ家の中に何台もテレビがあったり、ポータブルテレビを持っていたりするからといって、受信料を余分に支払う必要はありませんね。テレビ付き携帯電話も同様です(NHK広報部の回答参照)。

 ただし、「携帯電話でテレビを見ればいいから、家庭用テレビは必要ない」という人が将来的に主流になるようなことになれば、別枠で受信料を徴収することも検討しなければならなくなるでしょう。

 

 ここからはご意見です。

(第1回目の最後に書いてあるように)ユーザーにニーズがあって提供する側にもメリットがあれば、普及すると思います。ユーザーは放送だろうが通信だろうが、使い易く、面白ければ気にしないと思います。それよりも自分に負担がかからないようなもの(金銭的、時間的制約など)を求めます。例えば通信料はタダ、端末はタダなど。そうでもしないとなかなか普及しない気がします。

A:まさにご指摘の通りだと思います。ただ、事業者側に儲けがなければサービス提供ができなくなりますので、ユーザーの負担を軽減させながらも、利益を上げていくための仕組みづくりが重要になってくることはいうまでもありません。

 端末がタダ・通信料がタダといってもユーザー側に負担が発生していないわけではありません。携帯電話端末一つとっても、いわゆるインセンティブモデル無しに定価を付ければ1台5〜10万円するものさえあると言われており、日本ではこのコストを通信料金を通じて後から回収しているに過ぎません。どこで利益を上げ、どこでコストを回収するのか、という視点を踏まえた上で、どのようにユーザー側の「負担感」を減らし「お得感」を増やしていくのかが、今後この領域でのビジネスを考えていく上で重要なポイントとなることでしょう。広告で稼ぐのか、パケット通信で稼ぐのか、有料コンテンツで稼ぐのか、いろいろな可能性があると思います。これについては次回の連載で検討したいと思います。

 放送と通信を大雑把に分類すると、放送はマスに対する同報性に優れ、伝送コストが安い。一方で、通信は個人に対する個別の情報提供に優れている。よって、細分化された専門チャンネルの番組情報の収集は通信で、番組自体は放送で取得するというスタイルが当初はふさわしいと思う。

 また、HDDレコーダーの普及によりリアルタイムで視聴する必要性はますます薄くなり、蓄積された番組をクリッピングしながら観ていくようになるのではないか。

A:放送と通信の特徴と使い分け方については、まさにご指摘の通りです。それぞれの特徴に応じてユーザーは放送と通信を使い分けていくでしょうし、事業者側もその特徴に適したサービスが提供できなければ、ユーザーから見切られてしまうでしょう。

 ある識者は「放送と通信は融合するものではなく、うまく棲み分けて別々に存在していけばいいんじゃないか」と語っています。たしかに、ユーザー側でその時の状況や目的に応じて最適のツールを使えばいいわけで、無理に融合させる必要もない、というのは説得性のある意見だと思います。

 ただし、放送と通信の領域拡大が進んで一部クロスオーバーする領域が生じているのは事実ですから、その部分は融合したほうがよりよい情報環境が実現することには間違いないように思います(下図)。

図

放送と通信の融合領域

 HDDレコーダーの普及によってテレビの視聴スタイルが変わるのか、というのはなかなか難しいところです。これまでテレビは「朝起きたらとりあえず見る」「家に帰ったら、まずテレビを付ける」といった視聴習慣が定着してきました。今後、蓄積視聴などの選択的、能動的な視聴習慣がどれだけ一般化するかは議論の分かれるところだと思います。

 また、蓄積視聴が一般的になって「CMスキップが常態化する→テレビ局の広告収入が減少する→番組の質が低下する」という悪循環に陥ると、視聴者利益とも相反する結果を招いてしまいます。

ユーザーの心の動きや経験についても語ってほしい

A:これについては、今後の連載の中で論じていきたいと思います。これまでのテレビの視聴者像は比較的見えやすかったのですが、様々な情報ツールを縦横無尽に使っている現在の生活者はなかなか捉えにくくなっています。

 これまでとは違ったアプローチをしなければ、ユーザーの心理や行動をうまく捉えることはできないことを実感しております。

ビジネスモデル、利益の源泉について更なる探求をお願いしたい

A:これについても次回の連載で論じてみたいと考えております。しかしながら、著者自身なかなか明確なイメージが見えておらず、頭を悩ませているというのが現状です。もっとも、すぐに分かるようなら、すでに私は億万長者になっているはず(!?)なのでしょうが…。

 これからもいろいろな形で読者の方々の意見を反映させていきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

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関連記事
▼第2回:ケータイから見た“非”融合(中)
▼第1回:ケータイから見た“非”融合(上)

関連リンク
▼OPINION:電通総研

[西山守,電通総研]

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