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コラム
» 2004年06月25日 00時00分 UPDATE

ITソリューションフロンティア:技術オープンソースは基幹業務システムにどこまで使えるか

近年、コスト削減などを理由にLinuxなどのオープンソースが注目を集めている。本稿では、基幹業務システムにどこまでオープンソースが使えるのか、OSからミドルウェアまですべてオープンソースで構成したシステムの実用性を検証した結果について紹介する。あわせてオープンソースを活用するためのポイントについて考察する。

[寺田雄一,野村総合研究所]

基幹業務システムへのオープンソース適用

近年、コスト削減と、ソースコードが公開されていることによる信頼性をおもな理由としてオープンソースが注目されている。基幹業務システムにおいても、OS(基本ソフト)にLinuxを採用した事例が出はじめている。しかしOS以外のミドルウェアについては、WebサーバーであるApacheに多数の導入事例があることを除けば、基幹業務システムへの適用事例はまだ少ない。

そこで野村総合研究所(以後、NRI)では、OSからミドルウェアまでをすべてオープンソースで構成した基幹業務システム(具体的にはWebアプリケーションサーバーシステム)を対象として、基幹業務システムへのオープンソース適用の実用性を、性能と信頼性を中心に検証した。

評価対象のシステム構成を図1に示す。Strutsは、Java(プログラム言語の1つ)でWebアプリケーションを開発する際のアプリケーションフレームワーク、Tomcatは、JSP(Java Server Pages:JavaによってWebサーバーで動的にWebページを生成しクライアントに送信する仕様)やServlet(Webサーバーで実行されるJavaプログラム)の処理エンジン、JBossは、EJB(Enterprise Java Beans:サーバー側の処理を含むJavaのプログラム部品)の処理エンジン、mod_jk2はApacheとTomcatとを接続するコネクタであり、すべてオープンソースである。

図1

オープンソースの評価と活用のポイント

 たとえば、オンライン処理における代表的なミドルウェアとして、データベースの整合性を維持するために一連の処理が問題なく行われたかを監視するTP(Transaction Processing)モニターがある。TPモニターは、リクエストの流量をコントロールし、システムが過負荷状態になることを予防する流量制御機能などの機能を装備している。このような、従来のミドルウェアが果たしているオンライン処理の性能、信頼性を高めるための機能(表1参照)を、すべてオープンソースで構成した評価システムが実現できるかどうか検証した。

表1

 結論を言えば、ミドルウェアに関しても、オープンソースは市販製品と比較して遜色ない機能をもっており、むしろ一部の市販製品よりも高機能である。また、処理の多重度を増加させた場合のシステムのスループット(ページ/秒)は、市販製品よりも若干高い値を示した(図2参照)。

図2

 従来の市販製品に比較して劣っている部分も、他の機能による代替や機能の拡張によって補えることもわかった。たとえば流量制御機能は、JBossでEJBの多重度を設定することでその機能を代替できる。

 また、Strutsではビジネスロジック(業務機能)を呼び出す際に、EJBを指定することはできない。そのため、EJBを活用してアプリケーションを開発する場合には機能不足である。NRIではこれを補うために、Strutsを拡張したミドルウェアを独自に開発し、EJBを簡単に呼び出せるようにした。これらの機能は、オープンソースとして公開する予定である。

有効性が確かめられたオープンソース

 今回の検証によって、オンライン処理のような高い信頼性を求められる基幹業務システムでも、オープンソースの実用性が確かめられた。

 なお、NRIではミドルウェアのオープンソースを導入した場合のサポート体制を確保し、システムの信頼性を維持している。

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