文化庁「AIと著作権の考え方」の“パブコメ反映版”はどんな内容? 弁護士が注目ポイント解説(3/3 ページ)
「AI事業者ガイドライン」の行方にも注目
生成・利用段階では、利用者が意図せずに既存著作物に類似した作品を生成した場合の整理が注目されます。
こちらの点は、以前の記事でもお伝えした通りパブコメ前から、既存著作物に類似した作品を生成した場合、AI利用者がその既存著作物を認識していなくとも、AI学習用データにその既存著作物が含まれる場合は、依拠性が推認され、著作権侵害になり得るとされていました。
この場合、利用者は「学習用データに既存の著作物が含まれていない」ことや「学習に用いられた著作物の創作的表現が、生成・利用段階において生成されることはないといえるような状態が技術的に担保されている」ことなどの事情を主張して、依拠性がないと反論する必要があることになります(『考え方』5.(2)イ(イ))。
パブリックコメントでは、利用者が学習段階の情報を得られず立証が難しいことを指摘する意見や、事業者の学習データのログの記録・保存や事業者からの情報提供手続きの整備などを求める意見が提出されました(パブコメNo.334,336,337など)。この点は「AI事業者ガイドライン」において取り上げられているとの回答がされています。
「AI事業者ガイドライン」においては、事業者の守るべき事項が示される予定で、現時点の案では、AI開発者は、AI開発時に何のデータを使用したのかなどのログの記録・保存が求められています(『AI事業者ガイドライン』も3月に取りまとめ予定)。
「考え方」と「AI事業者ガイドライン」はこのように密接に関連する部分がありますので、いずれもよく内容を確認することが重要になるでしょう。「考え方」がこの内容で最終版となった場合、利用者は、利用する生成AIを選択する際に、学習データのログの記録・保存がされているかなどを確認することも重要になると考えます。
以上、「考え方」の2月29日版の注目ポイントを簡単にお伝えしました。「考え方」は3月に最終版の公表が予定されていますので、生成AIを活用中または活用予定の方は、内容を確認頂くことをお勧めいたします。
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