文化庁の「AIと著作権の考え方」を理解するための“3つのポイント” 弁護士が簡潔に解説(1/3 ページ)
生成AIと著作権の折り合いはどこで付けるべきか──生成AIが世の中に広まり、それに対する著作権の考え方について、さまざまな議論が巻き起こっている。文化庁はそれらの論点を整理するために「AIと著作権に関する考え方について(素案)」を発表している。
2月29日には、1月23日から2月12日にかけて募集していたパブリックコメントの結果も発表し、計2万4938件の意見が集まったと公表した。文化庁は3月までにこれらの意見も反映し、最終版を発表する予定だ。そこで今回は、「考え方」について“3つのポイント”を挙げて、簡単な概要やその位置付けを紹介する。
解説してもらうのは、シティライツ法律事務所(東京都渋谷区)の前野孝太朗弁護士。なお、パブリックコメントの結果を反映した“2024年2月29日版”の「考え方」については、前野弁護士による解説記事を別途掲載する予定だ。以降の段落から前野弁護士の文章。
1.“法的な拘束力はない”が、実務上の影響は大きい
「AIと著作権に関する考え方について(素案)」の意見募集期間が終了し、2月29日にはパブリックコメントの結果が公開となりました。SNSなどでもさまざまな意見が飛び交っているこの「考え方」ですが、位置付けが分からないという方に向けて、今回はごく簡単に3つのポイントをお伝えしたいと思います。
まず、この「考え方」は、文部科学省に設置された「文化審議会」の中の「著作権分科会」に属する「法制度小委員会」が、AIと著作権に関する論点を整理して、小委員会の考え方を示すものです。
実際に裁判になった場合は、裁判所が著作権法などを解釈して判断します。当然ではありますが、裁判所は「考え方」の整理に拘束されることはありません。では「考え方」の内容は気にする必要がないのか、というと、そのようなことはありません。むしろ「考え方」の実務上の影響力は大きいと考えます。
そもそも、裁判で争われ、裁判所が判断を下すまでには長ければ数年かかりますし「考え方」に含まれる多数の論点について裁判所の判断が出るには更に長い年月を要します。
このような状況の中、AIを活用する企業や個人は「考え方」の整理に従って活用方針を定める(定めざるを得ない)可能性が高いと考えます。そのために、「考え方」の内容に注目が集まっているのです。
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