小林啓倫のエマージング・テクノロジー論考
「ChatGPT」の次に来るサービスは何か? 注目を集める「AIエージェント」 従来の生成AIとの違いとは(3/4 ページ)
看護師の代わりになるAIエージェントも
実際に、より実用的なアプリケーションを製品化する例も登場している。例えばつい先頃、生成AIブームで改めて注目を集めるようになった半導体メーカーの米Nvidiaから興味深いサービスが発表されている。その紹介映像がこちらだ。
ここで描かれているのは、盲腸の手術を受けたばかりのサラという患者と、レイチェルという名前が付けられた AIエージェント(映像内では「AIケアマネージャー」と自己紹介している)との会話だ。この中でサラが、医師に薬を処方してもらう際、ペニシリンにアレルギーがあるのを伝え忘れてしまったと告白している。
するとAIのレイチェルは、医師が処方したシプロフロキサシンとメトロニダゾールにはペニシリンが含まれていないことを確認し、これらを服用しても大丈夫であるとサラに告げている。
またレイチェルは、患者がより早く回復するためのアドバイスも行っている。サラは糖尿病を患っているため、血糖値を抑えることが治療する上で重要となる。そして昨日のサラの血糖値が少し高かったため、レイチェルはメトホルミンの摂取を続け、炭水化物の多い食べ物を避けるよう提案している。
このようなチャットbotは、以前からさまざまな分野や業界で検討されてきたものだ。しかしこの映像で描かれているような、人間の質問から「すべきこと」を瞬時に判断し、適切な回答を自律的に生成するのは難易度が高かった。それがAIエージェントの登場によって変化しつつあるわけだ。
NvidiaはこのAIエージェントを、AIスタートアップである米Hippocratic AIと共同で開発したと発表している。利用する際のコストは、1時間当たりわずか9ドル。つまり時給約1500円で、優秀な看護師を雇えるというわけだ。もちろん看護師の仕事は質問に答えることだけではないため、人間の看護師を全てAIエージェントで置き換えるというわけにはいかない。
しかしAIが、患者からの複雑な質問にも的確に回答できるようになれば、看護師の負担を大きく軽減できるだろう。特にさまざまな業界で人手不足が問題になっており「労働力減少時代」などという言葉まで叫ばれている日本では、AIエージェントの実用化は生成AI以上に注目される可能性がある。
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小林啓倫のエマージング・テクノロジー論考
生成AIやメタバース、新たなサイバー攻撃など、テクノロジーの進化が止まらない。少しずつ生活の中に浸透し、その恩恵を預かれることもある一方、思いもよらない問題を生み出すこともある。このコーナーでは、さまざまな分野の新興技術「エマージング・テクノロジー」について、小林啓倫氏が解説する。
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