ライフル発射するロボット犬、米海兵隊が実演 “武器化”が進む自律型AI無人機 「操縦者に危険及ばない」
平原を4本足で歩く犬型ロボット。目標を定めると背中に背負ったライフル銃を発射して、金属板の的に次々に命中させた――。米防衛技術企業のOnyx Industriesがそんな動画を公開している。
ライフル銃を搭載したロボット犬の実験は、米海兵隊特殊作戦コマンド(MARSOC)が実施した。防衛関連ニュースサイト「The War Zone」(TWZ)によると、MARSOCは人や犬を危険にさらすことなく作戦を遂行する手段として、こうしたロボット犬の評価を行っている。
米軍では海兵空陸機動部隊(MAGTF)が2023年、ロボット犬に搭載したロケットランチャーの発射実験を行った他、空軍基地でも武器を搭載しないロボット犬を偵察などの目的に使っているという。
MARSOCが今回の実験に使ったロボット犬の正式名称は「Vision 60 Q-UGV」。ロボットメーカー、Ghost Roboticsが開発した4足歩行無人車両に、Onyxの遠隔兵器システム「SENTRY」を搭載した。「遠隔殺傷能力を無人航空機、陸上機、海上機に統合することで、無人防衛技術に対するアプローチに革命を起こし、精度と安全性の向上を図る」とOnyxは説明する。
Ghost Roboticsはこのロボットを「耐久性や敏しょう性に優れた全天候型地上無人機」と呼ぶ。都市部や自然環境など幅広い場所で防衛などの用途に使うことを想定しており、「たとえ全く未知の環境でも、ビジョンセンサーが故障した場合でも、4本足ロボットは故障したり滑ったり転んだりしてもすぐに立ち上がって動き続ける」としている。
TWZによれば、Q-UGVはOnyxの電気光学・赤外線システムやAI対応のデジタルイメージングシステムなども搭載しており、無人機や人、車両などの目標を検知して照準を合わせられる。ただし標的を確認するとオペレーターに知らせ、攻撃を実行するかどうかは人間が判断するという。操作は世界中のどこからでも行うことができ、オペレーターに危険が及ぶ恐れはない。
そのため狭いトンネルの中など危険な戦闘が予想される場合や、地雷やブービートラップが仕掛けられた場所などでも、人間を危険にさらすことなく作戦の遂行が可能という。
人が入れない狭い場所に潜入したり、情報収集活動に利用したりもでき、危険を伴う作戦で軍用犬の代わりにロボット犬を利用できる場面も多いとしている。
こうしたAI対応の自律型無人機は武器化が進んでおり、いずれ実戦配備は避けられないだろうとTWZは予測する。
MARSOCはTWZに寄せたコメントで、ロボット犬のQ-UGVについて「地上ロボット工学評価における多数のテクノロジーの1つとして評価を行っている」と述べ、現時点で実戦配備はしていないと説明。「兵器だけでなく偵察・監視や電子戦にも利用する可能性がある」としている。
軍事目的のロボット犬活用には他国も目を向けている。TWZによると、過去にはロシアの軍事エキスポで、対戦車ロケット発射装置を背中に装着して動き回るロボット犬のデモを披露したり、機関銃を搭載したロボット犬を中国製のドローンで運ぶ映像を中国のWeiboに掲載したりしていた。
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