電気通信大学などの研究チームは2月15日、食べられるロボットを作り、実食した人の心理的な影響を調べる実験の結果を発表した。ゼラチンと砂糖などを素材にロボットを作り、食べたときに罪悪感などが生じるか調べた。
ロボットの形状はスティック状で、可食部分は市販のグミ程度の硬さという。ロボットの内部に空気を供給することで、縦方向か横方向に振動させられる。実験では(1)「ロボットを見たときにどのよう印象を受けるか」、(2)「実際にロボットを食べたときの印象」──を検証した。
(1)の結果、実験参加者は縦方向よりも横に揺れるロボットを見た際に、より生きているような感覚を強く抱くと判明。(2)を検証したところ、動いていないロボットを食べたときよりも、動いているロボットを食べたときの方が、生き物らしさや知性、感情、罪悪感、新鮮さなどを強く知覚すると分かった。これらの結果から、人は動いているロボットを食べる際に、特定の印象や感覚を得ることが示されたとしている。
研究チームは、人と食べられるロボットとの相互作用には大きな可能性が秘められていると説明。「異なる文化間での差異を探る機会を提供し、新しい食体験やエンターテインメント性の高い食事の創出へとつながるかもしれない。さらに、口腔刺激を通じた脳活動の促進といった医療分野への応用も考えられる」としている。
「生きているように見えるロボットを食べる経験は、食育における哲学的議論を広げ、生命とは何か、ロボットを食べる際に生じる感情やバイオエシックスに関する理解を深めることになると考えられる」(研究チーム)
この研究成果は、国際科学誌誌「PLOS ONE」に2月5日付で掲載された。
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