プロンプトエンジニアリングは死んだのか? “AIへの呪文不要論”がささやかれるワケ(2/4 ページ)
例えば現在の主要な対話型AIサービス/プロダクトでは、ユーザーが入力したプロンプトを裏側で組み替え、コンテキストに応じて最適化した命令文を自動生成する仕組みを実装・提供するようになっている。
またChatGPTのdeep research機能では、指示を入力すると、必ずChatGPT側からの質問(リサーチの対象範囲や想定読者などに関するもの)を受ける。さらにアプリケーションによっては、プロンプト入力欄の近くにサンプルプロンプトを提示したり、回答後に更問い用のプロンプトを提案したりする場合もある。
興味深いことに、米VMwareの研究によれば、人間が自分の頭で考えたプロンプトよりもAI側で自動生成したプロンプトの方が、ほとんどのケースにおいてより良い回答を得られるとの結果が見られたという。人間が余計なテクニックを駆使せず、AIに任せてしまった方が逆に望ましい、という時代が到来しつつあるのだ。
AIエージェントの登場
技術の進化によるプロンプトエンジニアリングの不要化という観点では、もう一つ重要な指摘がある。それはいわゆる「AIエージェント」の登場だ。
AIエージェントはある程度まで自律的に機能するAIアプリケーション。例えば「来月の出張用の航空券と宿泊先を手配して」と指示すると、それが自分の社内スケジューラーにアクセスして出張日程を把握、その上で航空会社や旅行会社のサイトにアクセスして、各種の予約を完了してくれる、などのユースケースが想定されている。
こうしたユースケースを実現するために、ユーザー側で詳細なプロンプトを組み立てる必要はない。AIモデルやアプリケーション側で適切なプロンプトを生成したり、既存システムから必要な情報・ルールを得たりするなどして、目的を達成してくれる。
また目的を達成する上で、他のエージェント(それは航空会社や旅行会社など、外部の企業が開発したものも含む)と協力する場合も多く、その場合はそもそも他のエージェント向けにユーザーがプロンプトを考えるという行為自体が発生しない。プロンプトを組み立てる作業は、ますますユーザーの手から離れていくわけだ。
生成AIの普及
もう一つ重要な指摘として「生成AIが普及し、誰もが使うものになったことで、専門職としてのプロンプトエンジニアという存在が薄れつつある」という意見もある。これはプロンプトエンジニアリングという行為自体の必要性を否定するものではないが、その意味合いが変化していることを示すものだろう。この点については、後ほど改めて考えたい。
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