開発現場のAI導入、“リアルな効果”どう測る? KDDIやDMMなどと検証へ、ファインディ
「AIを導入したからといって、必ずしも成果が上がるわけではない」――ITエンジニアの転職支援などを手掛けるファインディ(東京都品川区)の西澤恭介氏(執行役員)は、開発現場のAI導入についてこのように指摘する。
AIの発展に伴い、ソフトウェア開発におけるAIの利用は拡大している。一方、その成果は、AIが参照できるデータやAIを管理する仕組みなど組織の環境に左右される。また、成果が出せたとしても、それ以上にAIツールの利用コストがかさむ可能性もある。AI投資が事業成果につながるとは限らないという。
こうした背景からファインディは5月22日、組織におけるAI活用の効果を測る新指標の検証プロジェクトを始めると発表した。開発チームの生産性を可視化する同社サービス「Findy Team+」を利用する複数の企業と協力し、指標の妥当性を確かめる予定だ。
新指標の詳細や背景を西澤氏に聞いた。
新指標の3つの観点
ファインディが新指標の軸として提唱するのが「開発資本」という考え方だ。企業がAI活用によって継続的に価値を創出するための「ストック型の力」と定義しており、「Speed」「Quality」「Control」の3つの観点で構成する。主にSpeedでは成果物の提供速度を、Qualityでは成果物の品質を、ControlではAIを安全に使いこなせる環境かを定量的に測る。
西澤氏によると、特にControlが従来の開発生産性を測る指標と異なるという。これまでも、ソフトウェア開発の速度や品質は多くの企業が意識してきた。一方、AIを前提とする場合「誰が、何を根拠に、どの範囲を変更したのか、その履歴をどう残すのかが大切になる」と語る。
「文脈(AIを使う環境)が整っていない組織では、AI活用に個人差が生じたり、統制のリスクが高まったりする。AIの成果物の品質や、権限・監査、判断の再現性などの計測がControlには含まれる」(西澤氏)
今後、KDDIやDMM.com、パーソルキャリア、SmartHRと協力し、実際のデータや運用状況をもとに新指標が機能するか検証する。その結果を踏まえ、9月末ごろまでにβ版の指標をFindy Team+内で展開する予定だ。
目標は「経営と開発が同じ言葉で議論できること」
開発資本が生まれたきっかけは、Findy Team+を利用する企業の声だ。Findy Team+ではもともと、組織が導入した各AIツールの利用率や、AIが出力したコードと人間が書いたコードの割合などを分析し、AI導入の効果を測定していた。
一方、Findy Team+のユーザーから「“輪切り”で状態を把握するだけでなく(AIによる)組織の開発力向上を表現してほしい」との意見が、2025年中盤以降多く寄せられたという。これを受け、海外の文献なども参考にし、AI導入の組織的な効果を分析できる新たな指標の作成を目指した。
ただし、開発資本の最終目標は開発チームの評価ではなく「経営と開発が同じ言葉で議論できること」(西澤氏)。AI導入の効果を可視化し、企業におけるAI関連の投資判断やリスク対応の改善、AIを活用しやすい環境の整備などにつなげたい考えだ。
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