AIの普及で、約半数の企業がエンジニア採用人数を見直し──エンジニア向けの転職支援を手掛けるファインディ(東京都品川区)は8月29日、そんな調査結果を発表した。その中で「採用人数を見直す」と答えた企業は、48.2%という結果に。一方、採用を増やす/減らすかはほぼ同数存在し、方針が割れていると分かった。
対象企業に対して「AI活用の影響によって今後のエンジニア採用人数は当初の計画(前年度比)からどう変化する見込みか?」と聞くと、「採用人数を増やす」が25.0%、「採用人数を減らす」が23.2%となった。
この結果について、同社CTOの佐藤将高氏は「企業の投資スタンスによって変化しているというのがわれわれの見立てだ」と説明。「『コストを下げたい』と考える企業で、AIが活用できるなら採用を減らして人件費を抑える場合もあるし、資金に余裕がある場合はAIにガンガン投資して人も増やし、今できることを増やしていく。各企業の開発環境に対する投資のスタンスによって変化している」と続けた。
同社の執行役員である西澤恭介氏は、グローバルの観点での意見も補足。「海外で“人からAIへ”仕事が流れるという話もあるが、日本では状況が少し異なる。一部の企業ではそもそも、エンジニアの採用に苦戦していた背景がある。そのためAIの普及で、採用する会社の属性や、採用の人数規模が変わることはあると思うが、エンジニアの転職市場が一気に冷え込むなどの大きな変化は、現状としてわれわれは感じていない」と話した。
続けて「AI活用を推進する上で、今後採用を強化したいポジションや職種は?」の質問に対しては、「フルスタックエンジニア」が最も人気に。次点では「プロジェクトマネージャー」「エンジニアマネージャー」「バックエンドエンジニア」「インフラエンジニア」「データサイエンティスト」などが続いた。
また「現時点でのエンジニア採用プロセスにおいて、AI技術やツールの活用経験の有無は候補者の評価に影響するか?」と聞くと、「重視している」と答えた企業は57.0%に及んだ。2月に実施した前回調査では、「重視している」と答えたのは18.1%だったため、3倍以上増加した。
企業が求職者に期待するAI活用へのスタンスには「若手であっても積極的に勉強している人は採用するようにしている」「AIの近況のキャッチアップをしていないケースは厳しく見ている」「AI未活用で消極的だったため今後数年を見据えたときにスタンスとしてまずいと思い不採用にした」などの具体的な意見が上がった。
今後のエンジニア個人に求められるスタンスとして「AIの登場で、エンジニアがコードを書くことへの負担が大きく減っている。結果、『実装する』ことへの介在価値は相対的に減っていく可能性が高い。今後エンジニアの役割は作る人にとどまらず、価値を届ける人へ進化していく必要がある。アウトプットだけでなく、アウトカムを最大化する姿勢こそ、重宝されるのでは」と西澤氏は話した。
ファインディの調査は、転職サービス「Findy」と開発支援プラットフォーム「Findy Team+」の利用企業220社の回答結果をまとめたもの。調査はWebで実施し、調査期間は7月9〜18日。AI活用と採用に関して聞いた。
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