千葉豪雨、なぜ当日昼前まで予測できなかったのか ウェザーニューズに聞く「天気予報のメカニズム」のイマ(1/2 ページ)

 8月13日午後から夜にかけて千葉県を襲った記録的な大雨「令和8年8月千葉豪雨」。線状降水帯が繰り返し発生し、千葉市では観測史上1位となる雨量を記録、死者・行方不明者が出る大きな災害となった。この豪雨を巡ってXでは「千葉が極端な豪雨になることを当日昼前の時点で予測できていた予報モデルは『海外モデル含めてゼロ』だった」とするユーザーの投稿が拡散し、8月21日時点で12万回以上表示されている。

 現代の天気予報は、なぜこれほどの豪雨を直前まで捉えられなかったのか。ウェザーニューズ(千葉市美浜区)の気象予報士・内藤邦裕氏に聞いた。

半日で「8月1カ月分の3倍」

 8月13日の関東地方は、上空に寒気を伴う低気圧の渦「寒冷渦」が近畿〜中部付近へ進んだ影響で、その東側に当たる関東で大気の状態が不安定になっていた。また、東風が海上から大量の水蒸気を送り込み、千葉県付近には風向の異なる風がぶつかり合う「シアライン」が形成。発生した積乱雲群は同じ地域に雨を降らせ続ける線状降水帯となり、県内では約8時間にわたって猛烈な雨が降り続いた。

8月14日午前0時までの、関東地方の12時間積算雨量|ウェザーニューズ

 報道によると、この豪雨による死者は13人(8月21日時点)。停電は最大約2万5000軒に及び、床上・床下浸水は合わせて2000棟を超えた。ウェザーニューズが自社アプリなどに寄せられた浸水被害の報告約2万件を分析したところ、報告の半数超(55.7%)はハザードマップの浸水想定区域の外側や、周囲より低い土地からのものだったという。短時間の集中豪雨が排水能力を超える「内水氾濫」が主な被害メカニズムとみられ、都市型水害の典型となった。

「積乱雲群の微細なふるまい」が壁に

 これほどの被害を出した千葉豪雨。なぜ予測は難しかったのか。内藤氏はまず、今回の現象そのものの性質を挙げる。「積乱雲群の微細なふるまいや組織化が影響する、難しい現象だった」(内藤氏、以下同)

 今回の大雨は、雨雲が風上側と側面から次々に再生・発達する「バックアンドサイドビルディング型」の一種と推定されるといい、「上空の寒冷渦や下層のシアラインの微妙な動きともあいまって発生した」と説明する。個々の積乱雲の発生・発達や、雲群としての組織化といった小さなスケールの現象の積み重ねが、「どこで」「どれほどの」豪雨になるかを左右した──これが予測を困難にした要因という。

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この記事の著者

井上輝一
井上輝一

2016年3月からITmediaにジョイン。ITmedia Mobile、PC USER、LifeStyle、ヘルスケアで編集・執筆を兼務。2017年4月からITmedia NEWSでの兼務も開始。2019年4月にNEWS専属となる。スマートフォンやPCといったガジェット系の他、理系(神経科学)のバックグラウンドを生かして科学系のネタや、量子コンピュータ、ブロックチェーン、AIなど多岐に渡って取材している。

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